公開日2021年8月24日


お家と木のイメージ画像

相続相談に数多く立ち会っている専門家でも、現場で「困ったなぁ」と思うことにたびたび出会います。

そのほとんどが生前にもう少し考えてやっていただけたらよかったのに・・・と思うことばかりです。

今回は、私たち専門家でも、できれば出てきてほしくない事・・・でもよくでてくる事・・・についてお伝えしたいと思います。

 (目次)

1.遺言が後から見つかった

2.名義預金が見つかった

3.先代名義の不動産が見つかった

4.まとめ

 遺言が後から見つかった

人が亡くなって、相続が開始されると様々な手続きが必要になります。

そんな時、私たち専門家にご相談があれば、必ずお聞きすることに「ご遺言はありましたか?」というチェック項目があります。

重要な書類を保管してある場所に遺言書が無かったか?

公正証書遺言を作ってあったというお話は聞いてなかったか?

等いくつかの角度から遺言の有無について確認させていただきます。

遺言が無い場合の、相続の手続きはおおむね次のようなステップで進めていきます

①相続人の方から亡くなった方の財産に何があったのかお聞きする

②相続人の方に①に基づいて財産の元となる書類を探していただき、数量や金額を特定できる書類を集めていく

③遺産を一覧表にした「財産目録」を作成する

④相続人の皆様に財産目録をお渡しして、遺産に漏れがないか確認していただく

⑤相続人全員にお集まりいただき「財産目録」に基づいて遺産分割について話し合う

⑥遺産分割の話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員に実印で自署押印してもらう。

⑦遺産分割協議書に基づいて、財産の名義変更や分配を行い、相続税の申告書が必要なら税務署に提出をして納税を済ませる

このような手続きは争い無く話がまとまって6か月、申告期限までに何とか話がまとまって10ケ月はかかることがあるのです。

相続手続きのすべてが終わりかけた頃、たまたま亡くなった方の遺言書が見つかったらどうしますか?

さらに、遺言の内容が皆さんで話し合った内容とは違っていたり、相続人以外にも遺産が分配される内容になっていたらどうしますか?

遺言を隠せば、民事・刑事の両方で厳罰があります・・・・ それでも、何とか個人の遺志に沿うように争いにならないように相続手続きは済ませなければなりません。

遺言を生前に知らせるとリスクもありますが、中身はともかく遺言の有無は相続人の誰かに知らせておきたいものです。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 名義預金が見つかった

亡くなった人のご自宅で、相続人の方が遺産探しをする光景はよくあります。特に一人暮らしのお年寄りが亡くなった場合には、家族でも故人がどんな財産を持っていたのか知らない場合もあり、探しだす必要があるのです。

当然、皆様が探しているのは亡くなった人の名義になっている財産です。 故人の名義の通帳とか、故人の名義の有価証券の取引明細とか、故人名義の不動産の権利書とか、故人名義の保険証券です。

こんな時に、次のような物が、亡くなった方の引き出しから見つかることが良くあります。

孫の名前の預金通帳が孫全員分・・・。

印鑑もそれぞれの分が ・・・、通帳を開けてみると毎年110万円ずつ入金されていて、それぞれ結構な金額になっています。

さて、この通帳は孫の名前になっているから、孫にそれぞれお渡しすればそれでお終いでしょうか?

そう簡単にはいきません・・・。まず税務署が問題にします。

孫の名義の通帳と印鑑が、亡くなった祖母(祖父)の引き出しに入っていた・・・。

それだけで、税務署はこれらの預金は、亡くなった祖母(祖父)が複数の孫の名前を借りて、自分の財産を預金していたものだ。

だからこれらの預金は孫たちの物ではなく祖母(祖父)の相続財産とする・・・。と考えます。

相続人は、通帳を見ると毎年贈与税の非課税枠の110万円を振り込んでいるのだから生前贈与で孫の財産だ・・・と言います。

税務署は、贈与したというならもらった人が自由に使えるはずなのに、使った形跡もなく印鑑も祖母(祖父)が保管している。

これは名義預金です・・と考えます。

さて、税務署との決着はともかく、税務署だけなら良いのですか、これが亡くなった方の名義預金だとすると、相続財産として遺産分割すべきかどうかという問題にもなってきます。

名義預金と疑われそうな預金がある方は、生前に相続専門家にご相談ください。

株でも、生命保険でも、名義人と実際の所有者が違うことがありますから、ご心配な方は早めにご相談ください。
※契約者(保険料を支払う人)以外の人の通帳から保険料が引き落とされていないですか?

 先代名義の不動産が見つかった

相続手続きでは、預金や株式などの金融資産は比較的すぐに相続手続きがされ、名義変更や解約が行われます。

ところが不動産は、

配偶者が住んでいるから・・・とか、急がないでもよいから・・・とかの理由で、相続手続きがされずに、相続による名義変更登記もされず、お亡くなりになった方の名義のままとなっているパターンがよくあります。

とくに地方では山林、原野など相続人間で押し付け合いになり遺産分割ができないといったことも、先代の名義の不動産が残ってしまう原因になります。

このような場合、現在相続に直面している相続人の方は非常に困ります。

特に相続税の申告をしなければならない場合には、まず先代の遺産分割を先代の相続人の間で分割し、今回お亡くなりになった方の財産を確定させ、そのうえでまた遺産分割をするといったことが必要になります。

ただでさえ面倒な遺産分割を関係性の遠い親戚としなければならなくなりますので、まとまる話もまとまらなくなりがちです。

未登記の先代名義の不動産がある場合には、相続人との関係が近いうちに早めに遺産分割を進めておきましょう。

 まとめ

相続に慣れている人は誰もいません。

その時々で法律も変わりますし、ご近所でうまくいった話を聞いても、我が家に当てはまるとも限りません。

相続は人の一生の精算ですから、様々なパターンがあります。

今回、事例にあげたような3つのパターン・・・は、けっこう多く見受けられます。

心当たりがある方は、早めに相続専門家にご相談ください。

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この記事の監修者

角張 純

角張 純(税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 社員税理士 上越事務所所長
行政書士法人リーガルイースト 社員行政書士 上越事務所所長

新潟県出身。中小企業の事業承継からご家族の相続対策までをそれぞれの問題や課題に対する税務コンサルティングが得意。節税セミナーの実績も多数あり、長野市内の公民館で相続や終活講座の講師としても長年活躍しています。また、長年掲載している地域紙へ相続関連の記事が好評で隠れたファンも多くいます。