相続人の範囲
民法においては、被相続人(亡くなった人のことを指します。以下同じ。)の配偶者・子・父母・兄弟姉妹など一定の関係にある人を相続人として定めています。
被相続人とこれらの関係にある人は、当然に相続人となり、被相続人の遺産を相続します。
逆に、これらの関係にない人は相続人となることはできませんので、被相続人の遺産を相続することができません。
(ただし、遺言により相続人でない人が財産を受け継ぐことはできます。)
 

相続権を失う場合

被相続人と上記に記載したような関係であれば民法の規定で当然に相続人となるのですが、ここでももちろん例外というのがあります。

次に掲げるそれぞれに該当すると、当然に相続人となるはずの被相続人の配偶者や子・父母・兄弟姉妹であっても相続権を失ってしまいます。
 

「廃除」

被相続人が 生前に相続廃除の申立ての手続きを家庭裁判所に行い、その申立てが認められた場合や、遺言で廃除の意思表示を行った場合において、遺言執行者が遺言に従い廃除を申立て認められた際には、その人は相続廃除となります。
相続人としての地位を失い、相続することができません。
廃除の要件として「被相続人に対する虐待」や「重大な侮辱」を加えたこと、その他「著しい非行」があったことなどが挙げられます。

「欠格」

被相続人を殺害してしまう、遺言を書き換えるなど、相続欠格事由に該当する事由がある場合においては被相続人の意思とは関係なく、自動的に相続人としての地位を失います。
そしてもちろん相続することは不可能となります。
 
 

相続分・遺留分についての注意点

これらの廃除、又は欠格の事由により相続権を失った場合、その相続権を失った者に子供がいる場合には、その廃除又は欠格となった者に代わって、その子供が相続人となります。

廃除や欠格はその対象となった者にのみ適用されますから、その廃除や欠格となった者の子供には相続権や遺留分が引き継がれることになります(代襲相続)。
例えば、親が自分の放蕩息子Aに対して、一切の遺産を与えたくないと希望し、孝行息子Bにすべての財産を相続させようとしたとします。
遺言にて「放蕩息子Aについて廃除の手続きをとり、すべての財産を孝行息子Bに相続させる。」としても放蕩息子Aに子供Xがいた場合、Aを廃除することができても、その子供Xは遺留分の請求をすることができるため、すべての財産をBに相続することはできない可能性があります。

この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。