Q.

 私の父は、10年前に亡くなりました。

 父の財産は、自宅の土地建物しか無く、同居していた私は、名義変更することなくそのまま住み続けていました。固定資産税も父の名前で通知書が届きますが、私が支払い続けていました。

 父の相続人は、私の他に、兄が1人です。

 先日、家を出ていた兄が亡くなりました。兄には、妻と子どももいます。

 私は、結婚後も実家に住んでおり、自宅を自分の子どもに遺したいので、私の名義に変更したいと考えています。

名義変更はどのようにしたら良いのでしょうか?

 また、父の自宅の名義変更はいつまでにしなければいけなかったのでしょうか?

A.

 相続が発生し、不動産(家、土地、マンション等)の登記名義を所有者である被相続人から相続人へ、登記名義を変更することを「相続登記」といいます。

 「相続登記」には、法律上の決められた期限がありません。今回のように、父名義の不動産の名義変更をしていなかったとしても何の罰則もないのです。そのため、何年も前に亡くなられた方の名義のままになっている不動産が数多くあります。

 「相続登記」は、その不動産を管轄する法務局(登記所とも呼ばれています)で申請手続きを行う必要があります。管轄については、インターネットで調べることが出来ます。また、最寄りの法務局へ電話をし、管轄を確認することも出来ます。

 「相続登記」には、以下のものが必要となります。

  

◆相続登記に必要な書類◆

 〇相続登記申請書

   *登記の原因や相続人等を記載します。

   *申請書の様式は法務省のホームページで確認することが出来ます。

 〇登記原因証明情報 (戸籍謄本、改製原戸籍、除籍謄本等)  

 *相続の発生や、相続人が誰であるかを証明するために書類が必要となります。

 *遺言書があった場合には遺言書、遺産分割協議書を作成した場合には遺産分割協議書と印鑑証明書も、登記原因証明情報として必要となります。

 〇住所証明情報 (相続人の住民票等)

 〇固定資産税評価証明書

 *市税事務所や区役所等で取得できます。 

 *法務局によっては、納税通知書に付属している課税明細書で認められる場合もあります。

 〇登録免許税

  *固定資産税評価額(1,000円未満は切り捨て)に1000分の4(100円未満は切り捨て)を乗じた額

  *登記申請書に収入印紙を貼り付けて納付します。

 
 この「相続登記」は、司法書士に依頼することも可能です。
 申請をする法務局や、書類を収集する区役所等は、平日の昼間しか空いておりませんので、日中に仕事をしている方々にとっては、難しい手続きかもしれません。(法務局には数回通う必要があります) 
 役所での書類収集や法務局への訪問が難しい方は、司法書士に依頼するとスムーズに「相続登記」を完了することが出来ます。
◆相続登記をしなかった場合はどうなる?◆

  

 では、「相続登記」をしなかった場合はどうなるでしょうか?

 

 今回のケースのように、相続人のうちの一人(兄)が亡くなってしまうと、兄の相続人へ相続権が相続されることとなります。

 つまり、兄の配偶者と子どもが相続人となるのです。

 相談者が自宅の名義を変更するためには、兄の配偶者と子どもと、遺産分割協議をし、相続登記をする必要があります。

 

 遺産分割協議がまとまらないと、名義変更をすることが出来ません。

 兄と2人であればスムーズにできた遺産分割協議も、その配偶者や子どもとは、うまくいかない場合も数多くあります。

 このように、「相続登記」をしないまま、年数が経ってしまうと、相続人が複雑になり、スムーズに名義変更が出来なくなってしまいます。
 「相続登記」をしないと、その不動産を売却することも出来ません。
 また、不動産を担保に銀行から借り入れすることも出来なくなってしまいます。
「相続登記」自体に期限がなくとも、早めに「相続登記」をすることをおすすめ致します。
 但し、相続税が課税される場合には、不動産を誰が相続するかによって、相続税額が大きく変わる可能性がありますので、細心の注意が必要です。

 ソレイユ相続相談室では、不動産の相続のご相談も承っております。

 まずは、お気軽にソレイユ相続相談室の無料相談へお越しください。ご予約をお待ちしております。

 

この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。