更新日/2022年5月11日
家族が亡くなって相続が発生すると、戸籍や除籍といった言葉がしばしば出てきます。また業界用語で「ハラ」と呼ばれている改製原戸籍を取得する場合もあります。
それぞれどのようなものなのか、何をどうすればいいかについてここで見ていきましょう。
目次
❏戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍ってそれぞれ何?
相続手続きが始まると、戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍といった普段の生活ではあまり関わりのない書類が出てきます。それぞれどのような書類のことなのでしょうか?
・戸籍謄本
「戸籍謄本」とは、戸籍に登録されている全員について証明し、全事項が記載されている書類のことです。似た言葉に「戸籍抄本」がありますが、これは戸籍にいる一部の人のみの戸籍証明のことです。
・除籍謄本
除籍謄本とは、特定の戸籍に誰も記載されていないことを証明する書類です。
戸籍には子どもが出生すると新規で登録します。しかし、家族のだれかが亡くなった場合は、登録を削除しないといけません。このように戸籍にいた人を削除することが除籍です。
その他に結婚した場合も、戸籍から抜けます。その人は現在の戸籍から、新しく構築する世帯の戸籍の方に移ります。除籍謄本とは、戸籍上の人物が亡くなったり、結婚したことで、誰もいないことを証明するための書類です。
・改製原戸籍
改製原戸籍も戸籍に関する書類です。戸籍の取り扱いについては、戸籍法という法律に則って実施され、これまで何度か改正されました。
改正のたびに、戸籍は新しい方式で書き換えを行いますが、書き換え前の戸籍のことを改製原戸籍と言います。
❏ケース別、戸籍の取り方
相続の手続きを進めるにあたって、戸籍謄本もしくは除籍謄本が必要です。しかし何が必要になるかはケースバイケースです。代表的なケース別でどのように手続きを進めればいいか解説します。
・夫婦のどちらか一方が亡くなった場合
夫婦のどちらか一方が亡くなった場合、その人が除籍されたという記載のある戸籍謄本を準備します。亡くなった人は除籍されますが、戸籍にはもう一方の配偶者が残ります。戸籍から全員が抜けているわけではないので、除籍謄本を作成できる段階ではありません。
・夫(妻)が亡くなった後で妻(夫)が亡くなった場合
パートナーが亡くなった後で、もう一方も死亡した場合には、除籍謄本を取得しなければなりません。夫婦両方とも亡くなった段階で、戸籍には誰もいない状態になるからです。
・傍系親族が被相続人の場合
除籍謄本は請求できる人が限定されています。被相続人と同じ戸籍に入っているパートナーや子ども、直系尊属卑属、相続人のいずれかです。
例えば親が死亡して、同じ戸籍に入っているのであれば除籍謄本を請求することが可能です。ところが亡くなった人に子どもがいなくて、被相続人が兄弟姉妹やおじ・おばなどの傍系親族になる場合、ダイレクトに除籍謄本は取得できません。
傍系親族の人が除籍謄本を取得する際には、まず被相続人との関係性を証明できる書類を集める必要があります。生まれたときから順番に戸籍謄本を集めます。これらを役所に提示して、自分が相続人であることを立証します。相続人と認定されたうえで、初めて除籍謄本を請求する流れになります。
・代理人が請求する場合
自分で謄本を請求する作業は、仕事などをしていると難しいかもしれません。特に、生まれたときからのすべての謄本を集めるとなるとたいへんな時間がかかります。
このような場合、行政書士などに依頼して手続きを代行してもらうのも一考です。ただしこの場合、請求の条件を満たしている人の委任状が必要になります。
❏まとめ
身内が亡くなって相続手続きをする場合、戸籍謄本や除籍謄本などが必要になるかもしれません。何が必要になるかは上記で紹介したようにケースごとに分かれます。また誰が請求するかによって、手続きの流れも変わってきます。場合によっては煩雑な手続きが必要になります。状況に応じて行政書士などの専門家に相談するのもおすすめです。
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