公開日2021年8月25日
身近な人に相続がおきたら覚えておきたい3つの期限があります。
①相続を放棄する期限→3ケ月
②所得税の準確定申告書→4ケ月
③相続税の申告書→10ケ月
これ以外にも、相続手続きにはいくつか期限があるものがありますが、リスクやペナルティーも考えて押さえておかなくてはいけない上記3つの項目の期限をお伝えいたします。
(目次)
相続は財産がもらえる権利が大切な場合だけではなく、空き家等の欲しくない財産もあるでしょうし、亡くなった人の債務を引き継ぎたくない場合もあります。
財産や債務を引き継ぎたくないときに使えるのが相続放棄です。
相続を放棄する場合には、相続そのものや財差があることを知ってから後3か月以内に家庭裁判所へ申し立てを行わなければなりません。
申し立てをせずに3か月が経過すると相続することを承認したことになり、原則としてその後、相続放棄ができなくなります。
ただ放棄をするべきかどうかは、相続財産に何があるのかがわからないと判断できませんので、相続が起きたら早めに相続財産の調査をしましょう。
相続や財産を知らずに3ケ月が過ぎてしまった場合には救済措置もありますが、手続きも煩雑になりますから、早めの財産調査をお勧めします。
財産調べを行った経験がない方や時間のない方は相続専門家へのご相談をおすすめします。
アパート経営をしている方などで毎年確定申告をしている方に相続があった場合、相続のあった年の1月1日から相続の日までの確定申告をする必要があります。
毎年の確定申告の期限は3月15日ですが、相続があった年は確定申告ではなく、準確定申告という申告になるので、申告期限も別に設定されます。
本人が確定申告をするのならなら毎年のことなので良いのですが、準確定申告は相続人が申告することになりますし、準確定申告独自の書類もありますので、勝手がわからず苦労することも多くあります。
前年の申告書の控えを探して、必要資料を調べておく等の早めの対策が必要になります。
なお、年金収入が400万円以下で、その他の収入が20万円以下の場合には確定申告はしなくても良いことになっていますが、源泉徴収(税金の天引き)されている場合などは、あえて申告して税金の還付を受けることもできます。
年金などから天引きされる源泉徴収税額は、一年間その人が生きていた場合を前提として天引きしているので、年の途中で亡くなった場合には大抵の方が還付になります。
なお、準確定申告で扶養控除、医療費控除、生命保険料控除などの控除も受けられます。
ちなみに還付の場合は相続後5年4ヵ月以内に申告すれば還付を受けることができます。
還付をお忘れになっていても、税務署が積極的に還付を申し出てくれることはありませんので、ご自分で調べて申告することが必要です。
相続財産の相続税評価額が基礎控除額(3千万円+法定相続人の数×600万円)を超える場合には相続税申告が必要になります。
相続財産が基礎控除額を越えなければ申告の必要はないのですが「相続税評価額」で超えるかどうかというところがポイントです。
土地は固定資産税評価額よりも高めに評価され、保険金も非課税枠はありますが相続税の課税対象になってきます。
また、相続税の課税対象には、3年以内の生前贈与や名義預金も含まれてきます。
名義預金は亡くなった人の家族の名義になっている預金で、亡くなった人が家族の名前を借りて預金をしたと考えられ税務署に相続財産と認定されてしまうケースです。
一方で申告することにより得になる制度もあります。
①配偶者の税額軽減
配偶者が相続した財産が1憶6千万円まで課税されない特例
②小規模宅地の特例
自宅の土地の相続税評価額を80%OFFにしてくれる特例
貸家やアパートの相続税評価額を50%OFFにしてくれる特例
相続税の納税は申告期限と同じ10ヶ月以内に原則現金で一括納税となりますので、支払資金も含めて早めの準備が必要です。
相続が始まったら、上記3つの期限を気にしながら、遺言や家族信託が無い場合には、相続人全員で遺産分割の話し合い(遺産分割協議)をし、その後で預貯金の相続手続き、不動産の相続手続きなどを行わなければなりません。
遺産分割の話がまとまらない・・・何が申告すべき財産かわからない・・・となりますと申告も手続きも進めることが難しくなります。
話がまとまらないと使えるはずの相続税の特例も使えなくなってしまいます。
これらをスムーズに進めるためにも、生前に遺言や家族信託はあった方が良かった思われる場面に、相続手続きの現場ではではよく遭遇します。
相続が始まったら、相続手続きの進め方も含めて、まず相続専門家に相談することをおすすめします。
無駄なお役所回り、書類の申請の二度手間三度手間を防ぐことができますし、相続が始まった後でも節税になるアドバイスを受けることができます。
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