公開日2021年8月4日


最近、「終活」という言葉が注目を集めており、その中の1つである「遺言」への関心も高まっています。遺言(いごん)とは、自分の死後、財産を誰にどのくらい相続させたいか、などについて記した文書のことで、最後の手紙のようなものです。

 

「自分が死んだ後のことを考えるなんて、縁起が悪い!」を考える方も多いかと思います。しかし、亡くなった後のことを考えることは、自分の思い通りの財産承継ができるだけでなく、残された家族の円満な相続にもつながるのです。

 

また、遺言書に対して「無関心」であったり「関心はあっても書く必要なはい」と思っている方の理由として「遺言を書くほどの財産があるわけではない」ということがあります。

 

しかし、相続で争いになる家庭の遺産価額は約3割が1,000万円以下、約7割が5,000万円以下となっており、遺産が少ないほど争いになりやすい傾向にあります。相続はお金持ちにしか関係がないと思い込んでいますが、それは大きな間違いなのです。

 

では、家族が相続争いに巻き込まれるのを防ぐために、どのような対策を取る必要があるでしょうか?最も効果的な方法が「遺言」の作成です。


 

遺言にはどのような効果があるのか

 

亡くなった人に遺言が残っていない場合、「誰が、何を、どのくらい相続するか」を遺産分割協議という相続人同士の話し合いで決めなければなりません。

 

多くの相続争いはこの遺産分割協議の中で起こっています。

 

「私は被相続人に献身的に介護をしていたので遺産を多くもらうべきだ」「お前は迷惑ばかりかけてきたのだから、遺産をもらうべきではない」など、それぞれの主張がぶつかる場ですので、いくら仲のいい家族であっても争いに発展してしまうケースは多いのです。

 

しかし、遺言では「誰が、何を、どのくらい相続するか」を細かく指定することができますので、争いの原因となる遺産分割協議をする必要がありません。

 

さらに、民法で決められた法定相続とは異なる相続分で遺産を相続させることができ、自分の思い通りに財産を引き継ぐこともできます。

 

例えば、「自分と一緒に住んでいる妻に自宅を相続させる」や「献身的に介護をしてくれた長女に財産の半分を渡したい」など、自由な割合で相続させることができるのです。

 

また、遺言を活用すると、相続人以外の人や団体などにも財産を送ることができます。相続人ではないが、生前お世話になった友人や孫などに財産を遺贈することで、より希望通りの遺産分割を実現することができます。

 

・円満な遺産分割ができるように

 

遺言の内容は法定相続よりも優先されますので、遺言が残っている場合は原則として遺言の内容に従わなければなりません。

 

しかし、あまりにも極端な遺産分割は相続人の反感を買い、かえって争いの火種となる可能性もあります。

 

せっかく遺言を書いたのに争いになってしまっては、あなただけでなく相続人にとっても悲しい結果になりますので、相続人全員が納得できるような内容にする必要があります。

 

また、「付言」を書くというのも1つの手段です。なぜその内容にしたのかを遺言に記しておくことによって、多少偏りのある遺産分割であっても、納得してもらえる可能性が高くなります。

 

遺言書は最後の意思表示です。一度きりの相続で失敗しないためにも、元気なうちに遺言書を作成しておくことをお勧めします。

 

遺言書はご自身でも作成できますが、せっかく用意した遺言書が法律的に不備であったり、細かい配慮(遺留分請求権を巡る配慮など)に欠けている場合など、結果として争いの原因となるような火種を残しては意味がありません。

 

 

また、「遺言書」とともに大事なのは、遺言書の内容を中立的な立場で忠実に実現してくれる「遺言執行者」です。ソレイユ相続相談室の「遺言書作成サポート」と「遺言執行者業務」を利用し、「円満な相続」に向けた万全の準備をおすすめいたします。

この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。