作成日2021年9月9日


 

年を重ねていく親は、子どもたちを困らせないためにも、

これからの財産管理をしっかりと考えていきたいですね。

 

家と手の画像イメージ

 

(目次)

1、子に降りかかる大きな3つのリスク

2、本人確認を不要にする家族信託の活用(預金編)

3、本人確認を不要にする家族信託の活用(不動産編)

4、まとめ

 

 

 子に降りかかる大きな3つのリスク

 

内閣府の「高齢社会白書(2017年版)」 ■記事はこちら

によると、2025年には65歳以上の高齢者のうち、約人に人が認知症になる可能性があるそうです。

 

テレビ、新聞、雑誌でも認知症の問題は色々な角度でとりあげられ、私たちにとって認知症は特別なものではない身近に迫る問題になってきました。

 

高齢の親を持つ子どもにとって親の認知症は大きなリスクがつあります

 

①特殊詐欺による親の金融資産の消滅

②親が管理できない不動産の管理、取壊し費用、損害金を子が負担

③親の金融資産の凍結により子が生活費介護費用、管理費用を負担

 

誰もがこのような三大リスクを考えておかなければならない時代になってしまいました。

手遅れにならないよう、親が元気なうちに手当てをしておく必要があります。

 

今回は、誰でも活用できる「家族信託」を使った対策を解説いたします。

 

 

 本人確認を不要にする家族信託の活用(預金編)

 

認知症と「家族信託」の活用の関係をご理解いただくために

「本人確認」についておさらいをしておきます。

 

皆様のお父様が、銀行の窓口で300万円の預金をご自分の預金通帳から引出票に記入しておろす場面を考えてみてください。

 

 

お父様が、自分で窓口に出向いて、自分で引出票を記入して、自分で印鑑を押して、窓口で手続きすれば出金できます。

金額が大きくなって、窓口で本人確認を求められても、お父様が身分証明書を提出すれば引き出しできます。

 


 

では、お父様が認知症で、今日の日付もわからない状態になったとします。

お父様の代わりに面倒を見ている長女が預金を引き出しに行ったとして、何の手当もしておかないと

この場合には預金はおろせません……。本人確認ができないからです。

 

 

長女からすれば何とかして欲しいのですが、これは特殊詐欺の防止や銀行が長女以外の相続人から、本人以外の預金の引き出しを認めたことを問題視されないためにも大切な事なのです。

 

相続争いで大きなもめ事になる一つの要因は子どもによる親のお金の流用です。

キャッシュカードで限度額いっぱい複数回にわたって残る引き出した履歴は、親族だけでなく税務署も目をつけるポイントになります。

 

こんな時のために、お父様が認知症になる前に家族信託契約をしておくと下記のようなことができます。

 

お父様と長女の二人で次のような内容の家族信託契約書を作って調印しておきます。

 

①お父様は(契約書では委託者という言葉になります)

 長女(契約書では受託者という言葉になります)に、

 お父様の老後の生活資金の管理のために、

 長女に預金1000万円を預けます。

(契約書では信託するという言葉になります。)

 

②お父様のお金を預かる長女は、

 長女名義の口座(信託口座と呼び、銀行の商品名ではありません)を

 銀行に作ってお父様から1000万円を入金してもらいます。

 このお金は、お父様と長女との契約で、

 お父様の生活費、医療費、介護費用にしか使えないことになっています。

 

③後日、お父様は認知症になってしまいましたが、

 お父様の生活費は長女名義の信託口座から、

 長女が引き出しできるので何の心配もありません。

 

 

 本人確認を不要にする家族信託の活用(不動産編)

 

皆様のお父様が、老人介護施設に入居するためにご自宅を売却する場面を考えてみてください。

 

 

お父様と買主と不動産仲介業者の方と登記名義変更に立ち会う司法書士の先生が集まって、契約内容を確認し、名義変更に必要な書類を確認しあい

お父様と買主の意思を確認して契約の調印となります。

 


 

この時、万が一お父様が認知症で、契約内容の説明について聞かれてもわからず、自分の意思表示ができなければ契約は成立せずに自宅の売却はできなくなってしまいます。

そうなると売却資金をあてにした介護施設への入居もできなくなってしまいます。

 

 

こんな時にお父様が認知症になる前に家族信託契約をしておくと下記のことができます。

 

お父様と長女の二人で次のような内容の家族信託契約書を作って調印しておきます。

 

①お父様委託者は、

 長女受託者に、お父様が自宅の管理と老後の生活資金や施設入居費の調達のた めに自宅と預金500万円を預けます(信託します)

 

②お父様のお金と自宅を預かった長女は、

 長女名義の口座を銀行に作ってお父様から500万円を入金してもらい、

 お父様名義の自宅を長女名義に変更する登記をします(信託登記といいます)

 

③後日、お父様は認知症になってしまいましたが、

 お父様の施設入居のための自宅売却は、

 自宅が長女に名義変更されていることから、契約に父が立ち会うこともなく

 売却は完了し、売却代金は長女の信託口座に入金されました。

 

④信託口座は長女の名義になっているので、

 施設入居費もその後の生活費も信託口座から長女が引き出しできるので

 何の心配もありません。

 

 まとめ

 

家族信託は、認知症による「本人確認」ができなくなることによる、預金の解約、財産処分を家族が行うことを可能にする方法です。

 

その際、目先の預金の問題だけにとらわれると、親の財産の管理不備の三大リスクの一つの不動産管理リスクを背負ってしまう可能性もあります。

 

特に地方に親が住んでいて都会に子どもが住んでいる場合などは注意が必要です。

 

また家族信託は、預けた信託した財産を、預けた人の死後に誰のものにするかまで契約できるので、

遺言の代わりにもなります。

 

家族信託の活用をお考えになっている不動産をお持ちの方は、預金だけでなく不動産も組み込んだ家族信託をお勧めしています。

 

家族信託のご相談は、相続専門税理士と行政書士が運営するソレイユ相続相談室の無料相談をご活用ください。

 

 

無料相談のご予約・お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

0120-971-131

営業時間/9:00~20:00まで
※電話受付は18:00まで

メールでのお問い合わせ

無料相談のご予約
お問い合わせはこちら