作成日2021年8月19日


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不動産取得税とは、

一つの不動産の取得に対して一度だけかかる地方税です。

相続の場合はどのように影響してくるのでしょうか?


 (目次)

1.不動産取得税とは

2.不動産取得税の計算と節税

3.まとめ

 

 不動産取得税とは

不動産取得税は、不動産を取得したときに払う税金です。

不動産を取得した時に支払う税金は、名義変更登記の時に支払う「登録免許税」や不動産の所有に対して毎年支払う「固定資産税・都市計画税」とは別にその不動産の取得に対して一度だけかかる地方税です。

一戸建ての住宅、マンション、貸家、アパート、ビル等、新築・中古にかかわらず、土地と建物それぞれに対して課税されます。

また、不動産取得税は「売買」だけでなく、家屋の新築、贈与、等価交換による取得にも課税されます。

つまり、有償・無償にかかわらず不動産の取得に対して課税されるのです。

ただし、相続の場合(相続として登記される場合)には、原則として課税されません。

よく勘違いされるのは、贈与税の非課税と一緒に考えてしまう方がいらっしゃるのですが、

相続時精算課税制度の特例や婚姻期間20年以上の夫婦間の居住用不動産の贈与の特例の適用を受けて

贈与税がかからない場合でも不動産取得税の課税の対象となります。

 

 不動産取得税の計算と節税

不動産取得税の計算の原則は下記の計算式によります。

固定資産税評価額 × 4% =不動産取得税

ただし、不動産取得税には様々な特例が設けられていて、中には期間限定で設けられているものもあります。


①2024年[令和6年]3月31日までは税率も課税標準額も安くなります。

土地及び住宅 3% 住宅以外の家屋 4%

居住用のアパートやマンションなら税率は3%ですが、事務所用や店舗用の建物は4%となります。

課税標準額も、宅地等(宅地及び宅地評価された土地)を取得した場合、当該土地の課税標準額は価格の1/2となります。


②新築住宅及びその敷地の特例 2024年3月31日まで

下記要件を満たす新築住宅の計算式

(固定資産税評価額-1,200万円)×3

○新築住宅の要件(以下の床面積条件を満たしている必要があります。)

戸建住宅……50㎡以上240㎡以下

戸建住宅以外(アパートやマンションなど)……40㎡以上240㎡以下

※アパートやマンションの床面積は、共用部分の床面積を専有部分の床面積割合で按分した床面積を含めて計算します。

事業用と居住用の併用住宅については、居住用部分の床面積で考えます。

専有部分となる自宅の面積にプラスしてエントランスなどの共有部分を割り当てた土地面積が足されて算出されます。

また、購入した新築住宅が認定長期優良住宅だと、控除額は1,300万円になります。

新築物件を購入し、これとほぼ同時期に宅地も購入すると、宅地の不動産取得税も以下の計算式となり軽減されます。

(固定資産税評価額×1/2×3%)-

控除額(以下の1と2のいずれか多いほうの金額)

1. 4万5,000円

2.(土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×
(課税床面積×2(200㎡が上限))×3%

ただし、以下の要件を満たす必要があります。

• 上物である建物が「軽減措置」の対象であること

• 土地を先に取得している場合は、土地取得から3年以内に建物を新築すること

• 土地を借りるなどして建物を先に新築した場合は、新築後1年以内に土地を取得していること

軽減措置を受けるには、地方自治体での手続きが必要です。

自治体や適用を受ける軽減措置によって、提出期限や提出すべき書類は異なります。

東京都の場合は、賃貸用に新築未使用の建物と土地を同時に取得したケースにおける軽減措置の場合は、不動産取得の日から30日以内に以下の書類を管轄の都税事務所や都税支所、支庁に提出する必要があります。

•不動産取得税申告書
•売買契約書と最終代金領収書
•登記事項証明書
•平面図
• 賃貸借契約書
※軽減措置の対象となる建物は、居住用のみです。
事務所や店舗といった事業用の建物の不動産取得税は、「固定資産税評価額×4%」で計算します。

また、中古物件で軽減対象になるのは「持ち主自身の居住用」のみで、中古物件の宅地も同様です。

建物が持ち主の自宅でなければ、宅地も軽減措置の対象になりません。


③不動産取得税の計算に使われる価格

ここでいう価格とは、不動産の購入価格や建築価格ではありません

総務大臣が定めた固定資産評価基準により評価、決定された価格で、新・増築家屋等を除き、

原則として固定資産課税台帳に登録されている価格のことをいいます。

また、土地や家屋の贈与を受けたり、交換により取得したりした場合も、固定資産課税台帳に登録されている価格となります。


④不動産取得税の免税点

課税標準となるべき額が次の金額未満の場合、不動産取得税は課税されません。

土地             10万円


家屋    新築・増築・改築 23万円
その他      10万円

ただし、次の場合は、それぞれその前後の土地又は家屋の取得をあわせて一つの土地の取得又は一戸の家屋の取得とみなして、判断します。

●土地を取得した方がその土地を取得した日から1年以内に
その土地に隣接する土地を取得した場合


●家屋を取得した方がその家屋を取得した日から1年以内に
その家屋と一構となるべき家屋を取得した場合


⑤不動産取得税の納付方法

不動産取得税は、不動産のある県税あるいは都税事務所から送られてきた納付書を金融機関等で支払います。

具体的な納付方法は都道府県によって違いますのでそれぞれの不動産取得税の係にお問い合わせください。

 

 まとめ

不動産取得税はその税率も高いことから、不動産購入にあたっては大きな支出になります。

不動産の購入にあたっては、事前に専門家に相談して、余分な税金を支払うことが無いように、

将来も見据えて下記税金についても十分な対策をしておきたいものです。

<検討しておきたい税目>

  ・不動産 ・取得税 ・登録免許税 ・贈与税 ・相続税 ・所得税

 

この記事の監修者

角張 純

角張 純(税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 社員税理士 上越事務所所長
行政書士法人リーガルイースト 社員行政書士 上越事務所所長

新潟県出身。中小企業の事業承継からご家族の相続対策までをそれぞれの問題や課題に対する税務コンサルティングが得意。節税セミナーの実績も多数あり、長野市内の公民館で相続や終活講座の講師としても長年活躍しています。また、長年掲載している地域紙へ相続関連の記事が好評で隠れたファンも多くいます。