公開日2021年8月27日
相続税のおおまかな計算は次のようになっています。
相続財産から控除する部分に葬式費用があります。
葬式費用は亡くなった人の債務ではなく遺族が支払うべき費用になります。
しかし、相続と密接に関係している費用で、相続税の上では控除される費用となっています。
従って、葬式費用は控除した方が相続税を少なくすることができるのです。
お葬式といえば、葬式費用と共に思い浮かべるのは遺族がもらう香典です。
遺族がもらった香典には課税されるのでしょうか
遺族が受け取った香典は社会通念上相当なものは課税されないことになっています。
※社会通念とは、常識的に考えて・・・というような意味です。
ただし、社葬で会社が受け取ると課税の対象になります。
さて、香典を持ってお葬式に行って、香典返しをもらってきた経験がある方がいらっしゃると思います。
この香典返しですが、お葬式を執り行う遺族からすると葬式費用になります。
では、この香典返しが、相続財産から控除できる葬式費用になるかというと・・・ならないのです。
もらった香典が課税されないのですから、そのお返しも税金計算上控除できない・・・という理屈でお考えいただければよいと思います。
それでは、控除可能な葬式費用にはどのようなものがあるか見ていくことにしましょう。
お葬式のやり方も、直葬・家族葬等多様化しております。
葬式費用として税務上認められる範囲は次のようなものが税務署から例示されています。
(1) 葬式や葬送に際し、又はこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用)が認められます。
(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3) 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)
(4) 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5) 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
反対に控除できないものの例示もされています。
(1) 香典返しのためにかかった費用
(2) 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
(3) 初七日や法事などのためにかかった費用
葬式費用に関しての税務署の例示はおおまかなもので、葬式の形式も多様化しており、無宗教から多数の宗教もあり、地域によって葬儀に関する呼び名も内容も違うのが普通で、詳細な規定は作れないのが現実だと思います。
上記、控除できない税務署の事例の初七日の費用も、現実には葬儀当日に初七日法事を同時に済ませてしまうことも多く、このような場合には葬儀費用として控除できると考えられています。
また、税務署の例示には入っていませんが、葬儀を手伝ってくれた方へのお礼(心づけ)も当然葬儀の費用に入るものとして控除できると考えられています。
葬式費用に関して、私たち専門家に対してくる質問も具体的な事が多く、その都度判断しております。
質問の中で共通しているのが、領収書は必要ですか? という質問です。
すべてに領収書があれば一番良いのです
しかし、葬儀のあわただしい中で取り忘れもあるでしょうし、領収書をとれない支払もあるでしょう。
僧侶等へのお布施やお手伝いの人への心づけも一つ一つ領収書をもらうのもはばかられる場もあるでしょう。
こんな時は、領収書の代わりに、ノートにでも、忘れないためにも日付、渡した相手、金額はその日のうちにメモしておいてください。
それで控除できる支払かどうか判断できます。
だいたい10万円くらい使った・・・ではダメなのです。
葬儀屋さんへの支配は後日になることが多いのですが、その際に領収書だけでなく、支払いの明細をもらっておくことを忘れないようにしてください。
葬儀屋さんの支払の中に経費として控除できない香典返しが含まれていることが多くあります。
また、これもよく聞かれますが四十九日の法要にかかった費用は控除できません。
葬式費用は相続税を減らせる控除できる費用です。
お葬式の場では混乱もしていますし、いちいち判断しながら処理できる人はいません。
アドバイスとすると、とにかく支払ったお金はメモしておく、領収書があるものは無くなさないように保存しておく・・・・ということです。
あとから、メモしたものを専門家に聞きながら処理していけばよいのです。
葬儀後の相続手続きの進め方などは、まず相続専門家に相談することをおすすめします。
節税に関することなどさまざまなアドバイスを受けることができます。