公開日 2021年6月22日
相続税申告は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」に行う必要があるため、期限までに納税資金の準備や申告の準備を進めていくことになります。なかでも、申告に必要な書類を集めるのは、さまざまな関係機関の手続きが必要なので、早めに準備したいものです。
相続税申告に必要な書類には「申告をする人全員が必要な書類」と「該当者のみが必要な書類」の2つがあります。被相続人(亡くなった人)の財産構成によって必要となる書類が大きく変わりますので、慎重にチェックしておきましょう。
申告をする人全員が必要な書類
申告時に全員が必要になる書類は以下のとおりです。
・相続税申告書
・評価明細書
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・被相続人の死亡診断書のコピー
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票
・相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書がある場合のみ)
・遺言書または遺産分割協議書
・相続人と受遺者全員のマイナンバーカード
・相続人と受遺者の本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
相続税申告書と評価明細書は国税局が用意している形式に沿って書かなければなりません。川崎市中原区にお住まいの方は、川崎北税務署で書類を入手することができます。
また、身分関係を示す書類は市町村の役場で取得します。川崎市中原区にお住まいの方は、中原区役所で取得することができますので取得漏れのないように入念に確認することをお勧めします。
ケースごとに必要な書類
被相続人の財産に何が含まれているか、特例や控除を適用するかどうかによって、申告時に提出する書類が異なります。
ここでは「該当者のみが必要な書類」をご紹介していきます。
●被相続人に特定の財産がある場合
財産関係の書類は、現預金・不動産・有価証券等・保険その他資産など、該当する財産がある場合にのみ提出します。どこに、何の財産があるかを特定するためにも、財産に関する書類は必ず入手しておきましょう。
【現預金がある場合】
・預金残高証明書(相続開始日の残高)
・既経過利息計算書
・被相続人の過去5年分の通帳のコピー
【不動産がある場合】
・登記簿謄本(全部事項証明書)
・地積測量図または公図の写し
・固定資産税評価証明書
・実測図
・名寄帳
・売買契約書、賃貸借契約書など
【有価証券等がある場合】
・証券会社の預り証明書(相続開始日のもの)
・残高証明書(相続開始日のもの)
・配当金の支払い通知書
・被相続人の過去5年分の取引明細
【生命保険や退職金がある場合】
・生命保険証書のコピー
・生命保険金支払通知書
・火災保険等の保険証書のコピー
・退職金の支払調書
【その他の財産がある場合】
・金銭消費貸借契約書のコピー(貸付金がある場合)
・車検証のコピー(自動車がある場合)
・鑑定書(価値のある絵画や貴金属などがある場合)
・会員証(ゴルフ会員権がある場合)
被相続人がどの財産を持っているかによって、必要書類の取得場所が大きく異なります。不動産の全部事項証明書は全国の法務局で取得することができますので、川崎市中原区にお住まいの方は、横浜地方法務局川崎支局で必要書類を取得しましょう。
●特例や控除を活用する場合
相続には、相続税額を抑えるための特例や控除がいくつもあります。これらの制度を利用するためには、申告時に必要な書類を提出しなければなりません。
今回は、多くの方が利用する「配偶者控除」と「小規模宅地等の特例」の必要書類をご紹介いたします。
【配偶者控除を適用する場合】
・遺言書または遺産分割協議書の写し
・相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書がある場合のみ)
・申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限までに遺産分割が間に合わない場合のみ)
【小規模宅地等の特例を適用する場合】
・遺言書または遺産分割協議書の写し
・相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書がある場合のみ)
・申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限までに遺産分割が間に合わない場合のみ)
●被相続人からの贈与があった場合
被相続人から生前贈与を受けた場合でも、その贈与財産に相続税が課されることがあります。このような場合、どのくらいの贈与があったのかを把握するために、申告書と一緒に贈与に関する書類を提出しなければなりません。
【被相続人の死亡前3年以内に贈与があった場合】
・過去3年分の贈与税申告書
・贈与契約書
【相続時精算課税制度を使って贈与を受けた場合】
・相続時精算課税制度選択届出書
・選択時以降の贈与税申告書
・贈与契約書
【特例を適用した贈与があった場合】
「住宅取得等資金の贈与」「結婚・子育て資金の一括贈与」「教育資金の一括贈与」など、贈与税が非課税となる特例を適用した場合は、以下の書類が必要になります。
・贈与税申告書
・贈与契約書
・各特例の非課税申告書
必要書類は早めに準備しましょう
相続税申告にはさまざまな書類が必要になることが分かりました。これらの書類をすべて10ヶ月以内に揃えるとなると、非常に大変ですよね。特に、戸籍謄本は本籍地の役所でしか取得できないため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集するのは骨の折れる作業です。
申告期限ギリギリになって慌てて書類を集めるなんてことにならないために、相続が始まったらすぐに書類の収集を始めることをおすすめします。
また、「申告に必要な書類がわからない」「申告が必要がどうかわからない」という場合は、相続に詳しい税理士に相談するのも有効な手段です。税理士に相談する場合でも、書類の収集は時間がかかる場合がありますので、いずれにしても早めに着手しましょう。