相続税もしかり、税金の滞納問題が近年ニュース等で取り上げられています。今回は相続税を期日までに支払わなかったらどうなるかお話したいと思います。
 
 
相続税の支払い方法
相続税は、相続開始から10ヵ月以内に金銭での一括納付が原則ですが、不動産や非上場株式(以下「不動産」)の割合に応じ、担保を提供することにより、5年~20年間の分割払いが認められています。これを「延納」と言います。
 
 
相続税延納にかかる利子税
延納を選択すると、不動産等の割合に応じて定められた率の利子税がかかります。相続税額が大きくなりますと、利子税の負担も大きくなりますので、できれば一括納付が望ましいところです。
 
(利子税率)
【算式】
延納利子税割合(年割合)×延納特例基準割合÷7.3% (注)0.1%未満の端数は切り捨て
 
(参考例)
「不動産の割合が50%未満」で、「一般の延納相続税額」に区分された場合、延納期間は「最長5年」となり、延納利子税割合は「6.0%」、また特例割合は「1.3%」となります。
 
 
相続税を滞納してしまうと・・・
延納制度の適用の有無にかかわらず、納期に納付すべき相続税を滞納すると、別途ペナルティの「延滞税」の利率が格段に高くなります。
 
(延滞税率)
①納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで・平成29年1月1日から平成29年12月31日までの期間は、年2.7%(原則「7.3%」と比較していずれか低い割合を選択する。)
 
②納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降・平成29年1月1日から平成29年12月31日までの期間は、年9.0%(原則「14.6%」と比較していずれか低い割合を選択する。)
 
このように、いったん相続税の支払いが滞納してしまうと、延滞税の額が大きくなり、さらに相続税の納税が難しくなってしまいます。
 
 
さらに滞納を続けてしまうと・・・
相続税の滞納が続くと、国税庁に財産を差し押さえられてしまいます。滞納者であっても、支払う意思があれば無理な徴収はしないとなっていますが、生活に必要な最低限の財産以外は競売や差し押さえされられてしまう可能性があります。
相続税を滞納しないためには、生前からしっかりと相続税の試算・納税資金対策等の準備を行い、将来の相続税の納税方法をしっかり考えておくことが重要となります。

この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。