生命保険の受取人が前妻のものがあった場合

夫の相続税の申告の為、書類を確認していたところ、
生命保険の受取人が前妻のままにしてあるものが含まれていました。
前妻に保険金全額又はその一部を請求することはできるのでしょうか。 

前妻の固有の財産に・・・

死亡保険金の受け取りを前妻のままになっていた場合、今の妻がこの保険金を受け取ることはできません。
また、夫の死後に受取人を変更することはできません。

死亡保険は相続財産ではなく受取人である前妻の固有財産となるため、
原則は「遺留分減殺請求」の対象になりませんので、前妻の同意が得られない限り、
相続人からの請求は難しいでしょう。

単純な手続きの失念により、不本意な遺産分割や揉め事を招く恐れがあります。
保険金受取人についてもきちんと確認しておくことが大切です。

 前妻が死亡保険を受け取ったときの税の取り扱いは?

前妻が受け取った死亡保険金は、当該契約の契約形態であれば「遺贈」により取得したものとされ、
「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。

実際に相続税負担が発生するか否かは、夫(前夫)の相続財産の総額や法定相続人の数等によりますが、
夫の法定相続人ではない前妻は、相続税の計算において生命保険の非課税枠 ※1が適用できません。

その上、税額は2 割加算※2 の対象になります。
相続税の面では法定相続人より不利になります。

【参考】
※1 生命保険の非課税限度額=500 万円×法定相続人
※2 相続、遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます)
  及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2 割相当分が加算されます。 

この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。