相続税の税額控除

被相続人や相続人がある条件に該当する場合、各相続人が納付すべき相続税額から一定の金額を控除することができます。
 

 

税額控除の内容

税額控除とは、簡単にいうと、相続税の納税額を安くできる制度のことをいいます。
税額控除には次の6種類があります。
 
①贈与税額控除
相続開始前3年以内の贈与財産は、相続税の対象となります。
ですから、贈与したときに支払った贈与税を相続税から差し引き、二重に税金がかからないように設けられているのです。
②配偶者に対する相続税額の軽減
配偶者の相続した財産の合計額が、その法定相続分または1億6000万円のいずれか大きい金額までは相続税を納めずに済みます。配偶者は被相続人と共に財産を形成してきたと考えられること、一般的に次の相続が近いことなどから設けられています。
③未成年者控除
20歳未満の人が法定相続人の場合、税金は安くなります。
未成年者が成人するまでの養育費や教育費の負担を考慮し設けられています。
④障害者控除
障害者が法定相続人の場合、税金は安くなります。
障害者の今後の生活負担等を考慮して設けられています。
⑤相次相続控除
今回の相続(第2次相続)にかかる被相続人が前10年以内の相続(第1次相続)により相続税を納めていた場合、その第1次相続で被相続人が納めた相続税の一部を控除できます。
たて続けに起こった相続への負担に配慮して設けられています。
⑥外国税額控除
相続人が海外で相続税を払った場合、その金額分を日本の相続税から控除されます。
国際的な2重課税を防止するために設けられています。
 
上記の③配偶者に対する相続税額の軽減の特例は、控除を受けるために申告書に所定の記載が必要ですので、納税額の有無にかかわらず申告が必要となります。
それ以外の上記①②④⑤⑥については、これらの控除により相続人全員の納税額が0円になる場合には相続税の申告は不要です。

この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。