家族信託は、認知症対策、特殊詐欺対策、遺言、次世代も含めた財産承継など、たいへん使い勝手がよい制度です。そんな家族信託に対して、最近次のような質問を受けることがあります
家族信託をするには家族全員の承諾がいるのですか?
家族信託の内容は家族に秘密にできるのですか?
さて、なかなか難しい問題なのです。結論から申し上げますと、
基本的には、家族信託を始めるのに、押印という意味での承諾が必要なのは、委託者と受託者の二人だけですが、財産管理の行く末を考えた時には、財産管理にかかわってくれる家族には知らせることが好ましい制度です。
家族信託のしくみを踏まえながら、家族の理解が必要な状況は、どのような場面でしょうか、見ていきましょう。
生前から効果がある家族信託
亡くなるまで効力を発揮しない遺言
家族信託は、家族の誰かに財産を信託する(預ける)仕組です。財産を預けるときに、預ける人の財産名義は、預かった人の名義に変わってしまいます。だから、認知症対策になるし、預けた人が亡くなった時に預かった財産の分配を決めておけるので遺言の役割をするのです。
家族信託は、最低でも委託者と受託者の契約がないと成立しないので、受託者には家族信託契約の内容は知られてしまうことになります。遺言は、自分一人で遺言を書いて、しまっておけば、誰にも知られることはありません。その意味で、家族の誰からも承諾をもらう必要は無いし、誰にも知られることはありません。
生前から効果がある家族信託と違って、遺言は、亡くなるまで効力を発揮しません。認知症になって判断能力が無くなった場合の財産管理は、遺言ではカバーできません。そもそも、亡くなった後で遺言が発見されなければ、それこそ本人だけの秘密になってしまいます。
■ 家族信託が成立したあとの課題も考えて設計
よく考えて家族信託契約を作るなら、父より先に長男が亡くなった場合どうなりますか?・・・財産を管理する人(受託者)が居なくなってしまいます。
そんな時のバックアップに、第二受託者と言って、受益者より先に、受託者が亡くなってしまったり、認知症等で業務ができなくなって辞任したりした場合に、当初の受託者に代わって信託財産を預かってくれる人を契約書に入れておきます。
第二受託者として、お母様は認知症では無理ですね。長女が適任ですが、きちんと話しますか? 話さなくても契約は可能かもしれませんが、長男か亡くなった時に長女が信託契約の内容を見て引き受けてくれなかったらどうします?
家族信託契約書には委託者の亡くなった後の残余財産の行く末も書いておくのが普通です・・・・いずれにせよ、ここまで考えるなら・・・普通はここまで考えます・・・長女に話しておいた方が安心ですから、家族信託の内容を知る人はもう一人できてしまいますね。
■ 財産管理をオープンにして、相続争いを防ぐ家族信託
信託財産に不動産があるときは、信託登記によって不動産の所有名義が委託者から受託者に変わります。
登記情報は公開されている情報ですから誰でも見ることができます。誰が委託者でどんな契約で誰が受託して誰が受益者になるのかも書いてあります。だから信託したことは公開情報として調べればわかってしまうのです。
また、親の財産を管理している家族に対して、横領しているのではないか?という疑心暗鬼から生ずる相続争いが増えています。このようなケースでは、親の財産管理をオープンとする家族信託は、相続争いを防止する対策として活用できます。
■ まとめ
人生100年時代と言われる近年。遺言や相続対策を考えるのは、もう少し先で…と思うものです。認知症のリスクに備えた「家族信託」を、お元気なうちから検討することや財産のことを家族に話すとなると身構えてしまいます。
そこで、専門家を交えて相談することをおすすめします、相続への疑問や不安を一つ一つ確認しながら対策を進められます。遺言で承継する財産と家族信託で承継する財産を区分することも可能ですし、相続税対策や世代を超えた財産承継について、ご相談者様のご事情に応じてご提案できます。家族信託が相続対策のすべてではないので様々な角度からの検討をさせていただきます。
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