相続時精算課税を選択した場合の、その後の少額贈与申告

通常、年110万円以下の贈与を受けた場合には、基礎控除額の範囲ですので贈与税の申告をする事は必要ありません。

しかし、一旦、相続時精算課税を選択した後は、その贈与者から贈与を受けた場合には年110万円以下の贈与であっても申告が必要となります。

 

相続時精算課税を選択すると、その後にその贈与者から受ける贈与はすべて相続時精算課税の適用を受けることになります。

ですから、いわゆる暦年課税での基礎控除110万円の控除を受けることはできなくなるためです。

 

暦年課税による贈与の場合はこの基礎控除がありますから、小額の贈与であれば、通常は申告をする必要がありません。

しかし、相続時精算課税を選択した場合には、この基礎控除を受ける事ができなくなりますから、年110万円以下の贈与であったとしても、申告をする事が必要となってきます。

 

なお、これは相続時精算課税の適用を受けることとした贈与者からの贈与に限りますから、それ以外の人からの贈与に関しては、引き続き暦年贈与による贈与が適用されますので、年110万円以下の贈与に関して申告は必要ありません。

 

例えば、父から相続時精算課税により贈与を受けた子の場合、その後、父からの贈与はすべて相続時精算課税の適用を受け、母など父以外の人から財産の贈与を受けた場合は暦年課税の適用を受け110万円の基礎控除を受けることになります。(もちろん条件を満たしていれば母からの贈与も相続時精算課税によることができます。その後は父、母それぞれの贈与が相続時精算課税の対象となります。)

 

暦年贈与により長い時間をかけて年110万円ずつ無税で贈与するのか、それとも相続時精算課税を使って贈与の時は2,500万円まで無税で贈与し、その後の相続税で精算するのか様々な検討が必要です。

この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。