公開日/2022年5月6日

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被相続人が亡くなった場合、相続するにあたって被相続人が死亡した時点でどんな財産を持っていたのか、財産調査をします。いくら財産があるのかわからないと、遺産を相続人でどのように分けるか、話し合うこともできません。

さまざまな財産の中で、被相続人がどの程度の預貯金を持っていたか、立証するのが残高証明書です。相続税の申告時に必要な書類なので、入手方法などについて理解しておくといいでしょう。

1.相続と残高証明書の関係

残高証明書は相続手続きをする際に必要になる書類一つです。遺産分割協議時と相続税の申告時に必要になります。

・遺産分割協議時

遺産分割協議とは、被相続人の遺言がない場合、被相続人の保有していた遺産をどのように分けるのかを話し合うことです。協議をするにあたって、死亡した時点でどの程度の財産を所有していたかをはっきりさせないといけません。

預貯金については残高証明書が必要になります。残高証明書とは、被相続人の保有する口座にいくら残っているかを証明する書類です。

遺産分割協議では、親族間で揉めることもしばしばあります。

理由の一つに財産の内容を明確にしないことです。すると「誰かが隠し財産を不正に取得するのではないか?」と疑心暗鬼になりかねません。そうならないためにも残高証明書を取得しておくといいでしょう。金融機関の発行する書類なので、参加者も預貯金の信憑性に関して納得できるはずです。

・相続税の申告時

相続税は遺産相続したすべてのケースで課税されるものではありません。3,000万円と法定相続人1人当たり600万円が基礎控除になるからです。

例えば父親が亡くなり、母親と子ども2人の家族の場合3,000万+600×3=4,800万円が基礎控除額です。4,800万円以下の財産しかなければ、相続税は課税されません。

ただし4,800万円超の財産があれば、相続税の対象です。この場合、税務署で相続税の申告をする必要が生じます。

相続税の申告にあたって、必要書類をいくつか添付する必要がでてきます。残高証明書も添付書類のうちの一つです。金融資産に関する被相続人の残高を証明するためです。

ただし一部例外もあります。預貯金がごく少額の場合には残高証明書の代わりに、通帳のコピーを添付すれば収受してもらえるかもしれません。

2.残高証明書を入手する方法

相続の手続き時にはかなりのケースで、残高証明書は提出必須の書類です。残高証明書は自分たちでも取得することは可能です。

取得するにあたって注意すべきポイントについて以下にまとめました。

・手続きは金融機関

残高証明書の発行は、被相続人が口座開設していた金融機関で行います。口座開設した支店で手続きをすると、スピーディに残高証明書を発行してもらえるのでおすすめです。ただしあまりに遠方にある場合には、同じ金融機関の最寄りの支店で手続きしても構いません。ただし開設したところではない支店で手続きをすると、残高証明書が発行されるまでに多少時間がかかるかもしれないので注意してください。

・必要書類について

相続人であれば、基本誰でも取得可能です。ただし必要書類がいくつかあります。金融機関によって若干異なりますが、一般的には被相続人が死亡した日時と手続した人が相続人であることを証明できる書類が必要です。具体的には戸籍謄本や除籍謄本です。また手続きする際には、実印が必要になります。実印を立証するために印鑑証明書も必要になるので、役所で前もって発行してもらいましょう。

・発行にあたっての注意点

残高証明書を発行する場合、注意しなければならないのは、いつ時点の証明書を入手するかです。被相続人が亡くなった時点、相続の発生した時点の日時での残高証明書を取得しましょう。

また被相続人が定期預金の口座を持っていた場合、利息分の計算をしてもらうように注意しましょう。定期預金だと預金したときから亡くなった段階まで利息が発生しています。こちらを金融機関にお願いして計算してもらいましょう。ちなみにこのような利息を既経過利息と言います。金融機関によっては残高証明書とは別に経過利息計算書を発行しているところもあります。この場合、経過利息計算書も併せて提出してください。

残高証明書を発行依頼する際には、手数料が発生しますので注意しましょう。手数料は各金融機関によって異なりますので、気になるのであればあらかじめ金融機関に問い合わせておきましょう。

3.まとめ

残高証明書は相続手続きをする際に必要になる可能性の高い書類です。

遺産分割協議をするとき、場合によっては相続税の申告手続きをする際に必要です。だいたい発行までに1週間から10日程度かかると考えてください。複数に口座開設している場合、すべての金融機関で残高証明書をとってこないといけないので自分たちで手続きするのは厳しければ、行政書士などに代行依頼するのも一考です。

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この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。