更新日/2022年6月10日

私たちの暮らす日本では、日本国憲法第30条の定めるところにより、国民は納税の義務を負っています。税金には非常に多くの種類があり、「こんな所にも税金が?」と驚く経験をされる方もおられます。

長い人生の中では税金の納付に悩まされることも少なくありません。しかし、税金には「納付期限」があることはご存じでしょうか。毎年、季節の風物詩のように車や住民税に関する納付書を受け取り、期限内に慌てて振込に行く人も多いでしょう。では、税金の納付期限を超えてしまうと、一体どうなるでしょうか。

この記事では税金の「利子税」と「延滞税」に関して詳しくご紹介します。相続税の対策についてもご紹介しますので、あわせてご一読ください。

日本に何種類の税金があるの?

私たちの生活に身近な税金と言えば、やっぱり「消費税」ではないでしょうか。老若男女、年齢や国籍を問わずにお買い物をする時には消費税が徴収されています。

では、現在日本国内に税金はどのぐらいの種類があるのでしょうか。国税庁によると、現在日本における税金の種類は「約50種類」としています。税金は大きく2つに分けることができます。

1.直接税

納税義務がある人と税金の負担者が同一の税金のことを直接税と呼びます。具体的には、贈与税に関しては贈与を受ける人に納税義務があります。相続税は被相続人が残した財産を受け取った方に納税義務があり、不動産取得税は不動産を取得した方に納税義務が発生します。固定資産税や車の税金も直接税です。

2.間接税

間接税は直接税とは異なり、納税者と納付者が異なります。その際たるものが消費税です。消費税は商品を買ったりサービスを受けたりした際に購入者が税金を店側に支払います。店側が今度は消費税を納付します。酒税やたばこの税金も同じです。この他に、登記や領収証の際におなじみの印紙税、温泉で支払う入湯税なども間接税に該当します。

税金は自己破産をしても残る!計画的な納付が大切

生活資金に悩んでいたり、会社経営に行き詰まったりすると個人の税金に関しても納付が遅れてしまうことがあるでしょう。住宅ローンや奨学金など、毎月固定の返済に追われていると税金がついつい後回しになってしまう方もおられます。しかし、税金はたとえ自己破産をしても免除にはなりません。(非免責債権)その他の債務に関しては免除になっても、税金は残されてしまうのです。実は税金には「時効」があるのですが、非常に厳格な運営がなされているので、「時効の中断」が行われます。そのため事実上税金の時効も難しいのです。意図して延滞しようとせずに、納付期限を守ることを心掛ける必要があります。自己破産をしても免除にはならず時効も難しい上、納付が遅れてしまうと「利子税」や「延滞税」で納付すべき税金が膨らんでしまうからです。

税金における利子税と納付税の違いとは?

では、税金の納付が遅れると一体どのようにペナルティが課されるのでしょうか。この項では利子税と納付税の違いについて解説します。

利子税とはどんなしくみ?

税金の納付が厳しいと判明した際には、税務署に申告を行うことで延納が認められることがあります。延納している期間は利子が加算されるため、利子税と呼びます。つまり、きちんと申告してから遅れる、という方法です。遅れることでその他の納税者との不平等が生じないように利子が加算されます。

例として、相続税に関して納税が難しい場合には延納(物納も可※1)の許可を税務署に申し出します。許可が下りると、一括の納付ではなく分割納付を開始します。民間のローンの借入と同じで、分割納付の際に利子が加算されるしくみです。延納が認められているのは、相続税の他に所得税や贈与税が挙げられます。なお、相続税や贈与税の利子税(※2)は以下のとおりです。

※1 物納とは、延納をしても金銭での納付が難しい場合、特別に許可される税の納付方法です。物納をする場合には日本国内にある不動産や船舶などを利用して納付します。詳しくは下記リンクをお読みください。

参考記事はコチラ→国税庁 No.4214 相続税の物納 

※2 相続税と贈与税の利子税…平成30年1月1日以降は年1.6%が基準 期間は月割計算

延滞税とはどんなしくみ?

延滞税とは利子税とは異なり、税務署等に申告をしないまま遅延をしているために発生する税金です。そのため利子税よりもペナルティ要素が強く大幅に高い税率(※3)が適用されます。延滞税の適用は例として、申告しないまま遅延をする、納付に関して修正報告をした際に新たな納付が発生した場合などに行われます。

※3 延滞税の税率…納付期限の翌日から2か月を経過するまで原則として年7.3%

納付期限からわずかな期間であれば、(2か月以内)年2%弱程度の適用です。詳しくは下記リンクをご参考ください。

参考記事はコチラ→ 国税庁 No.9205 延滞税について 

相続税の納税に悩んだ時の対策法とは

税金には納付期限があり、申告をした場合には利子税、申告せずに遅延した場合には延滞税が加算されることがわかりました。

では、時として高額の納税が必要となる相続税に悩んだ場合にはどうするべきでしょうか。先にご説明のとおり、相続税の延納の場合には分納で納付していくことができますが、手元に不動産がある場合には売却をして支払う方法も考えられます。

相続税のために不動産を売却する際の注意点

相続税の納付のための資金が足りずに不動産を売却する方も多いでしょう。この場合、所有権の移転登記を経てから売却する必要があるため、手続きを急ぐ必要があります。相続税額の確定で一括納付が難しいとわかったらすぐに売却活動を開始した方が良いでしょう。

しかし、納付のために売却を急ぐと、売却活動が疎かになり、安い値段で大切な不動産を売却せざるを得ない可能性があります。また、売却益には譲渡所得税など別の税金も発生してしまうので、慎重に考えるべきでしょう。

相続税のために融資を受ける方法もある

相続税の納付期限までに資金を用意できない場合には、金融機関から納税のための融資を受ける方法もあります。この場合、通常のローンと同様に審査が行われるため、審査を通過することが大前提です。

しかし、利子税や延滞税よりもお得に返済できることも多いので、資金に悩んだら金融機関に相談をすることも検討しましょう。

まとめ

この記事では納税が遅れてしまう場合に発生する「利子税」と「延滞税」について、相続税の納付の視点も踏まえて詳しく解説しました。やむを得ない事情でどうしても納税できない、そんな時はまずは納付先の窓口へご相談されることが大切です。いたずらに遅延し、延滞税が発生しないように注意をしましょう。

また、相続税に関してはある日突然の相続発生で資金不足に悩まないためにも、まずは早くから相続税対策を開始することがおすすめです。

円滑な相続手続きのためにも相続税の専門家である「ソレイユ相続相談室」へご相談ください。

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この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。