相続税は現金による一括納付を原則としていますが、一括納付が困難な場合には延納という手続きにより分割払いも認められています。
この延納の許可を受けるためには担保を提供しなければならないとされています(相続税額が100万円以下、かつ、延納期間が3年以下の場合を除く)。
この延納に係る担保として株式を利用する場合には税務署長が確実と認めるものに限られます。
どういった株式が担保として認められるのでしょうか。
延納による分割納税は一括納付が困難な場合に認められる制度ですので、上場株式など取引相場があり容易に換金できるものについては、売却し一括納付に充てることが求められます。
従って、担保に提供できる株式は取引相場のない株式ということになります。
亡くなった被相続人が非上場の会社を経営していた場合、その会社の株主でもある場合が多いのですが、こういった非上場会社の株式が取引相場のない株式に該当します。
また、延納に係る担保として提供できる財産には国が管理処分しやすいものが優先されますので、例えば管理処分に適当な不動産などがあった場合には、その不動産を担保とすることが優先されます。
このように、取引相場のない株式を延納の担保とすることは可能ですが、その優先順位は低く、他の財産を担保として設定することができないという状態でなければ、取引相場のない株式を担保に設定することはできません。
取引相場のない株式は売買できる市場が限られ、欲しがる買手が見つかるかどうか不透明ですし、また、仮に見つかったとしても、その評価額の算定や売買金額の決定について必要な情報の開示がどの程度確実なものか、明確なルールがありませんから国としては担保価値を見出しにくく、担保に提供するためにはいくつものハードルを越えなければならないのです。