親の面倒を見ていた子どもとその兄弟姉妹が、いざ相続が起きると揉めてしまうことは、実は珍しいことではありません。遺産について話がまとまらずに、それ以降絶縁状態に陥ることも。その原因は、相続人以外の親族が遺産の話に割り込んでくることも多いことがあげられます。家族信託を活用することで最悪の事態を回避することが可能です。ありがちな事例を体験談仕立てでお送りします。


私たち夫婦は都内のマンションで、76歳になった母と暮らしていました。
母とは5年前に父が亡くなったときに、母の希望もあって母が相続した父のマンションに越してきて同居をはじめました。
夫の両親はいずれも亡くなり、子どもたちも独り立ちしたので、同居にも気持ちよく賛成してくれました。

 

 

 

心配ーその①

私には兄がいて、都内にマンションを購入し夫婦と子どもと暮らしています。
兄とは二人兄妹で、仲はいい方だと思いますが、兄嫁とはうまくいっていません・・・
兄嫁はローンの支払いが大変だといつも愚痴をこぼしています。

 

というのも、私の父が亡くなった時に、父の財産は母の希望と、母が相続することで相続税がかからないことも手伝って、すべて母が相続することになりました。
後で兄から聞いたところによると、このことに兄嫁は少なからず不満を持っていたようです。預金を分けてもらいたかったらしいのです・・・
そんなことがあってから、兄嫁は母を訪ねてきたときに、母に聞こえないように私に、
「いいわね。お母様が生活費出してくれるんでしょ」「家賃が無いと楽でしょ」
と嫌味に聞こえる一言をつぶやくようになりました・・・

 

しかし、私たち夫婦は、母と同居する時に、水道光熱費も食費も私たちが払うことにして、母からは年金の中から毎月3万円いただく約束にしていました。それは兄嫁にも伝わっているはずですが、私が母の財産を管理していることに妙な疑いを持っているのではないかと、心配です。

 

 

 

心配ーその②

そんなある日、母が家の中で転んでしまい腰を痛めてしまいました。
高齢で体力も弱っていたので、歩行器か車椅子が必要な生活になってしまいました。

 

母のマンションは入り口の階段がきつくて車いすの出入りが難しい造りになっています。
しばらくは、デイサービスの方の介助で、病院に行ったりしていましたが、母も気兼ねをしたのか老人ホームに入居することを決めました。
母は老人ホーム入居後も時折、家に帰ってくることは楽しみにしている様子です。母はホームの暮らしより自宅にいる方がくつろげるようです・・・

 

 

母の生活費は、私が母に言われるまま母の年金口座から降ろしてきて母に渡すようにしていました。このままの暮らしでもよいのですが、心配があります・・・・

 

最近年相応に物忘れが目に付くようになった母が、認知症になってしまった時に、母に必要なお金をおろせなくなってしまうのではないか? という心配です。
母は年金が振り込まれる普通預金通帳以外の預金はすべて定期預金にしてあるようです。

 

先日テレビを見ていたら、認知症になると預金はおろせなくなり、「成年後見制度」を使って家庭裁判所から選ばれたった「成年後見人」が預金を管理することになるようです。
当然、定期預金は解約できなくなってしまうでしょうから、高額の医療費の支払いや、今の老人ホームから移るときの入居費も、私ではおろせなくなってしまいます。

 

さらに最近、母のマンションの住み替えを、夫と考えています。

 

母は家に戻るのを楽しみにしているのですが、エントランスが車椅子に対応していないので、毎回介助がないと入れません。
介助なく車椅子で部屋まで入れるマンションに住み替えるのが、私と夫の願いで、母も望んでいるようです。
その、母名義のマンションの住み替えも、母が認知症になると難しくなるとテレビで言っていました・・・・

 



 

「成年後見制度」を使って、預金を管理することになれば、兄嫁に疑われる心配もないのでしょうが、まだその段階ではないし、専門家に依頼すれば毎月少なからずお金がかかるので、何年もとなると結構大きな金額になってしまいます・・・・

 

そんな心配を抱えていたある日、NHKのあさイチという番組で「家族信託」という制度があることを知りました。

 

この制度は、認知症の対策として最近使う人が増えてきて、成年後見制度のように家庭裁判所に頼まなくても、家族の中でお金などの管理ができる制度であることがわかりました。

 

テレビを見ながら、家族信託に関心が湧いて、しばらくネットで調べて、私の心配にも使えるのではないかと思いました。

 

母の相続税の他、マンションの住み替えの事も心配なので、家族信託と税金のどちらも無料で相談できるところがあり、私の心配事が解決できそうかどうかを確認しに行ってきました。

 

 

無料相談会場で、次のようなアドバイスをいただきました。

 

1.お母様が認知症になった時に備えて、家族信託制度を今から使うこと・・・
➡認知症になってからでは家族信託契約が使えない

 

2.お母様のマンションと預金を、家族信託契約を使って、私の名義に変えてしまうこと・・・
➡こうすれば母が認知症になっても預金がおろせるし、マンションも売ることができる

 

3.家族信託に入れる財産(信託財産)は、すべて母の生活、医療、介護のために使う契約にすること・・・
➡私に名義を変更しても贈与税がかからない

 

4.家族信託の仕組みの中に、兄か兄嫁を組み込んで、財産管理をオープンにして“管理の目”を兄の家にも持たせること・・・・
➡こうすることで財産管理はオープンになり、いらぬ疑いがかけられずに済む

 

5.家族信託契約の中に、お母様が亡くなった後の財産の配分の取り決めもしておくこと・・・・
➡そうすれば遺言を作ったのと同じことになり相続争いが防げる

 

6.家族信託契約の作成過程で相続税と譲渡所得の計算をして、その対策を契約に織り込んでおくこと・・・・
➡そうすれば、譲渡時のマイホーム売却の特例や相続時の小規模宅地の特例を前もって対策しておくことができる

 

相談した結果、家族信託を使うことで心配が解決できそうなので、家族信託にかかる費用の見積とわが家の具体例を作ってもらって、母に相談し、兄の家族とも話し合ってみることにしました。


「家族信託は誰に相談するのが一番よいか分からない」

「難しい家族信託のことをもっと詳しく知りたい」

 

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この記事の監修者

宮澤 博

宮澤 博 (税理士・行政書士)

税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。