遺産分割協議が終わってから財産が見つかった場合
作成日2021年8月19日
亡くなった人の財産を相続する場合、遺言や財産目録がないと相続をする人たちが、自分たちで受け継ぐ財産の詳細を調べてから分配をします。
調べるだけでも大変な労力がかかります。
ここでは、時間と手間をかけずに遺産分割協議を進めるポイントがわかります。
(目次)
相続が発生すると(人が亡くなると)、亡くなった人の財産は原則とすると誰にも使えなくなります。預金は凍結され、株の売買はできなくなり、不動産の売却もできなくなります。
亡くなった人の財産は、遺言や家族信託が無い場合には、財産調べをして財産目録を作成し、相続人全員で話し合って、財産の分配を決めます。この話し合いでまとまった事を書くのが遺産分割協議書です。
遺産分割協議書の作成期限は、法律でいつまでと決められていません。
あえて関連して法的期限を書くと、
①相続税申告書の提出期限が10ケ月以内
②不動産がある場合の登記申請が3年以内
(※この登記義務は2024年からスタート予定です。)
が主な期日です。
どちらも遺産分割が終わっている事が好ましいです。
しかし、使えなくなった預金を下したり、株の名義を変えたりするのは、次の理由からも早い方が良いです。
①遺された家族の生活費等の工面
②相続税がかかる場合の納税資金の準備
③名義変更のために取り寄せた戸籍や印鑑証明に使用期限がある
④高齢者の相続人がいる場合に、病気で判断能力が衰えて遺産分割協議ができないと代理人が必要になってしまう
⑤万一遺産分割協議をするはずの相続人が亡くなってしまうと、次の相続人と話し合わなければならなくなる
以上の理由からも遺産分割協議はなるべく早めに行った方が良いです。
遺産分割協議は早く済ませる方が良いのですが、遺産分割協議の元となる財産を探し出すのが年々難しくなっています。
財産探しが難しい……と聞いてピンとこない方もいらっしゃると思います。皆様だいたい、ご自分の財産がどこにいくらあるかくらいはお分かりでしょうから……。
それでは、皆様の
ご両親がどこの銀行のどこの支店に、いくらくらい財産があるかご存知ですか?
どこの証券会社と取引していてどんな商品を買っているかご存知ですか?
皆様の兄弟の財産ならどうですか?
高齢の方の一人暮らしが増えています。
突然亡くなられた方の財産を調べるのは結構大変です。
その昔は亡くなった方の机の引出や仏壇の引き戸を開けて、通帳を探したり証券会社の取引明細を探したりして財産探しをしましたが、今は無通帳のネット取引が多くなってきています。
不動産も自宅以外にお持ちの場合には、特定するのはなかなか大変です。
特に県外のリゾート施設などは忘れ去られていることもあります。
共有で持っていた不動産は、亡くなった方の持ち分が少なければ、何の通知も来ないことが普通です。
また、亡くなった親が海外預金を持っていることを子どもが知らずに税務署の指摘で分かった事例もあります。
亡くなった親や兄弟の財産状況がわからないときには、
相続専門の税理士や行政書士に相談して財産探しのポイントを教わることは無駄になりません。
相続人が集まって、遺産分割の話し合いをして、遺産分割協議書を作成して、全員で実印まで押印した後で、しばらくしてから財産が見つかったのでは困ってしまいます。
どうしたらよいでしょうか?
まずは、困らないように遺産分割協議書に次のような文言を加えておきます。
①後日新たに本遺産分割協議書に記載のない財産が判明した時は、相続人○○に相続させる
②後日新たに本遺産分割協議書に記載のない財産が判明した時は、相続人全員で当該新たに判明した財産の遺産分割協議を行う
このように記載しておけばどうすればよいか困ることはありません。
その上で、相続税申告を提出している場合には、新たに見つかった財産を加えた修正申告書を提出する必要があります。
この場合の注意点は次の通りです
①相続税は遺産全体に対してかかる税金なので、新たに財産が見つかった場合には、その財産を取得した人の相続税が上がるだけでなく、他の人の相続税まで上がってしまうことになるので注意と対策が必要です。
②新たに見つかった財産が金額的にも大きくなって遺産分割を最初に遡ってやり直そう……という意見が出ることもあると思います。
そのような場合に、相続税の申告期限が過ぎてから遺産の再分割を行うと贈与税がかかることもあるので注意と対策が必要です。
遺産分割協議の後で財産が見つかることはできるだけ避けたいものです。
その対策としては次の事が考えられます。
①生前に遺言を書いて財産目録と共に残しておく
②生前に家族信託を活用して遺産分割と名義変更まで生前に終わらせておく
③遺言も家族信託も活用しない場合には、財産探しの経験がある税理士や行政書士等の専門家に相談しておく
やはり、生前に遺族の負担にならない対策をしておくことが一番です。
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