遺言の検認手続きに必要な書類?
公開日2021年9月1日
亡くなった人の遺品を整理していると、「遺言書」と書かれた封筒が見つかることがあります。
また、生前に「遺言を残しておく」と聞かされているケースもあるでしょう。
遺言書には、その人の遺産分割についての意思が記されていますから、見つけたらすぐに開封して内容を確認したいですよね。しかし、遺言を見つけても勝手に開封してはいけません。
自筆遺言書がある場合、見つけたままの状態で、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になります。
検認とは、「相続人全員に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状や内容を明確にして、偽造・変造を防ぐための手続きです。
ただし、その遺言が法的に有効か無効かを判断する手続きではありません。検認をしたからといって、遺言が有効であるということにはなりませんので、ご注意ください。
検認が必要な遺言は?
検認が必要な遺言は、
自筆証書遺言と秘密証書遺言の2つです。
公正証書遺言の場合は検認が必要ありません。
公正証書遺言は作成に公証人が携わり、原本が公証役場で保管されるため、偽造や変造が行われる可能性が低いということで、検認をしなくても開封することができるのです。
ですから、「遺言公正証書」という遺言が見つかった場合は、そのまま相続手続きを進めることができます。
しかし、見つかった遺言が「遺言公正証書」以外の遺言であった場合は、検認の手続きをしなければなりません。
すぐにでも内容を確認したい気持ちはわかりますが、勝手に開封すると5万円以下の過料が科されてしまいますので注意が必要です。
ただし、「自筆証書遺言の法務局保管制度」を利用して保管していた自筆証書遺言は検認が必要ありません。
法務局保管制度とは、自分で書いた自筆証書遺言を法務局で保管してもらえるというもので、2020年7月10日から始まった新しい制度です。
検認の申立てに必要な書類
では、実際に自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかったら、どのような手順で検認を進めていくのでしょうか?
まず、遺言を見つけたら、その遺言を見つけた人、もしくは保管していた人が申立人となって、遺言者(亡くなった人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で検認の申立てをします。
申立てに必要な書類は以下のとおりです。
【検認の申立てに必要な書類】
・申立書
・遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・収入印紙800円分
戸籍謄本とは、その戸籍にいる人の生年月日や結婚・離婚などの身分関係について記されている公文書です。
基本的には本籍地の役所へ申請をして取得することになります。
戸籍謄本の収集には時間がかかることがありますので、早めに準備しておきましょう。
特に、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本を収集する場合は、遺言者の死亡したときの戸籍から遡って出生の戸籍までを全て取得しなければならず、転籍の多い遺言者の場合は取得する戸籍謄本も多くなってしまいます。また、昔の戸籍謄本は手書きで書かれているケースがあり、読解が困難なものもあります。
戸籍謄本の収集は、知識のない方にとっては非常に難しい作業です。
専門家でも時間がかかってしまうこともありますので、早めに専門家に任せておくと良いでしょう。
必要書類を準備したら検認の申立てを
検認の申立てに必要な書類が全て揃ったら、実際に家庭裁判所に申し立てを行いましょう。
遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所は、裁判所のホームページから検索することができます。
申し立てをした後は、家庭裁判所から検認期日の通知がきます。
検認の申立てに必要な書類、検認当日やその後の流れについて、
さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。→「遺言書の有無の確認と手続き方法」
戸籍謄本の収集から検認の手続きが終了するまでは、1ヶ月ほどの期間がかかります。
できるだけ早く手続きを進めるためには、相続に詳しい「税理士」への依頼もご検討ください。
また、検認後に発生する相続税の手続きなどもまとめて依頼すると、スムーズな相続手続きが実現できます。
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