争族にならない遺言の書き方
公開日2021年8月5日
遺言がない場合、残された家族は遺産分割協議と呼ばれる話し合いをして、「だれが、何を、どのくらい相続するか」を決めることになります。その上、相続人や相続財産の調査も行わなければならず、相続人は複雑な手続きを頑張って行うことになるのです。
ここで、恐るべき問題は「争族」です。
例えば、遺産分割協議の中で、遺産を多くもらいたい相続人が根拠のない主張をしてきたり、調査の最中に遺産を隠したりすると、相続人同士で争いになってしまうことは容易に想像できるでしょう。
仲の良い家族には関係ないと思うかもしれませんが、実は仲の良い家族や財産の少ない家庭でも、争いが発生することはよくあるケースなのです。
そこで、残された家族が争いを起こさないためには「遺言」が必要になります。遺言とは、死後に自分の財産をどのように扱ってほしいかについて記した、いわゆる「最後の手紙」です。
今回は、家族が相続を起こさないために、どのような遺言を残せば良いのかについてご説明していきます。
争いにならない遺言のポイント
①なるべく不公平な遺言内容は避ける
争いを防ぐ最大のポイントは、不公平な遺言内容にしないことです。
例えば、「私の全財産を愛人〇〇へ贈与する」と書かれていたら、妻・夫や子どもたちはどう思うでしょうか?あまり気持ちの良い内容ではありませんから、内容を見た相続人に遺言自体を隠蔽される可能性もあります。
また、一定の法定相続人(配偶者や子)には「遺留分」といって、最低限保障された取り分があります。
その遺言が、特定の相続人の遺留分を満たしていない内容である場合は、他の相続人または受遺者から足りない分を請求することができるのです。
しかし、遺留分が請求されるということは、遺言通りの遺産分割ができないということです。
せっかく遺言を残したのに、その通りに遺産分割がされないと悲しい気持ちになってしまいます。ですから、遺言を書く際は、遺留分に配慮し、できるだけ公平な内容にしましょう。
ただし、相続に詳しい人でないと、遺留分についての知識がなく正しい配慮ができない可能性があります。遺留分に配慮した遺言の作成には、相続に詳しい「税理士」への相談をご検討ください。
②遺言執行者を指定する
遺言執行者とは、遺言の内容を正確に実現するために、遺産の管理や名義変更の手続きなどを行う人のことです。遺言を作成する際は、必ず遺言執行者を指定しなければならないわけではありません。
しかし、遺言執行者は相続人を代表して手続きを行うことができるため、よりスムーズに相続を進めることができます。
仮に、遺言執行者の指定がない場合は、相続人が協力しあって手続きを行うことになります。「〇〇が手続きに協力してくれない」「誰が書類を持っているか分からない」となると、トラブルが発生してしまう可能性があります。
相続手続きを円満かつ円滑に進めるためには、遺言執行者の指定をしておきましょう。指定は遺言で行うことができます。
③二次相続に配慮した遺産分割を
亡くなった人の配偶者(妻・夫)がまだ存命の場合、亡くなった人の遺産を配偶者に多く相続させるケースはよくあります。
これは、配偶者が受け取った遺産のうち、1億6,000万円までは相続税がかからない「配偶者の税額軽減」を利用した遺産分割で、節税効果が大きいことから多くの方々に利用されています。
しかし、一般的に夫婦はそこまで年齢が離れておりませんので、遺産を多くもらったとしても、ほどなくして配偶者も亡くなってしまう可能性が高いのです。
そうなると、1つの財産に対して「夫から妻への相続」「妻から子への相続」で、2度も相続税がかかることになります。遺言を書く際は二次相続に配慮し、節税対策の面でも効果のある遺産分割になるようにしましょう。
④付言を書く
付言とは、残された家族に対して伝えるメッセージのようなものです。
例えば、多少長男に有利な遺言であっても「なぜこの遺産分割にしたのか」を付言として記載しておくことによって、他の相続人が遺言内容に納得してくれるかもしれません。
また、家族への感謝や「家族仲良く暮らしてほしい」などの気持ちを書いておくと、より効果的です。
相続の争いを防ぐためには、遺産分割の内容を決めるだけでなく、自分の気持ちを伝えることも大切です。
遺言を書く際は、付言も一緒に書き残しておきましょう。
ここまで、遺言を作成する上で注意するべき4つのポイントについてご説明しました。
しかし、「2次相続に配慮した遺産分割のしかたが分からない」
「相続に詳しい専門家に遺言執行者になってもらいたい」
という方も多いのではないでしょうか?
ソレイユ財産管理では「遺言書作成サポート」と「遺言執行者業務」を行っております。
遺言の作成を検討している方は、ぜひ一度ご相談ください。
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