7月からスタート!自筆証書遺言書保管制度

    2020年7月10日より、「自筆証書遺言書保管制度」が始まります。
    それはどのようなものでしょうか。
    3つの項目に分けてご説明します。
    「ペットのための遺言」作成をずっと考えているけど、なかなか踏み切れない
    という方は特にお読みください。

    その① 「ペットのために遺言を残す」とは

    『ペット安心相談室』では
    「自分にもしものことがあったら、、、大切なペットのために今できること」
    というテーマで、数年前からセミナーを行っています。

     

    飼い主さんが不慮の事故や予期せぬ病気などで入院、死亡して、
    大切なペットの世話をできなくなった、
    ペットが残されてしまった、、などの万が一に備えて、
    その後のペットの余生が困らないようにするために、
    あらかじめ飼い主さんが、
    ペットにかかる費用と託す先を用意しておこうというものです。

     

    その一つの手段としてご提案させていただいているものが
    「ペットのための遺言・信託」です。

     

    具体的にいうと
    「私が死んで愛犬〇〇ちゃんが残されてしまったら、
    ○○ちゃんが生涯を全うするまで大切に世話をしてくれることを条件に
    飼育費用▲▲万円を、●●さんに遺贈します」
    というものです。

     

    「遺言」というと、財産のたくさんあるお金持ちが残すもの、
    歳をとってから書くもの、、と思いがちですが、
    『ペット安心相談室』にペット遺言の作成をご依頼いただく飼い主さんは
    40代~50代、しかもペットに残すお金は数百万円単位の方が多いです。
    30代の方がご相談に来られたり、
    貯蓄の代わりにとペットのために生命保険に入って、
    それを遺言の中でペットの飼育費として残される方もいらっしゃいました。

     

    ここまででだいだい、ペットのための遺言のイメージはつきましたでしょうか?

     

    そこで、次に気になるのは「遺言」の様式ですが、それについて次の項目でご紹介してきます。

     

     

     

     

    その②「遺言」作成には大きく分けて2つ

    「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があるのは、なんとなくご存じの方も多いことでしょう。
    それでは簡単に、それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。

     

    まず自筆証書遺言とは、自分で全文を自筆する遺言です。
    手軽にいつでもどこでも書ける、
    そして、なんといっても費用がかからない、、、
    というのが最大のメリットでしょうか。
    また誰にも知られずに作成することが可能です。

     

    デメリットとしては、
    手軽といえど、形式がきまっているため、
    せっかく遺言を書いていたのに、
    形式の不備で無効になったり、
    誰にも言わないで書いていたりすると、
    本人の死後、遺言が見つからなかったり、
    紛失や偽造、隠匿(隠される)恐れも出てきます。

     

    また、自筆証書遺言は、本人の死後、
    家庭裁判所での「検認」というものが必要になり、
    その日数が1か月~かかることが想定されます。
    飼い主さんの死後、すぐにペットの庇護が必要なのに
    迅速に実行されないという恐れも考えられます。

     

    また、「ペット遺言」を残されるお客様は、
    ほかに大切なペットを託すことのできる家族がいない方が多く、
    第三者にペットのための飼育費用とペットそのものを託す内容の遺言を用意されることがほとんどなので、
    飼い主さんの死後、相続人や関係者の間で紛争が起こらないように
    そして迅速にペットの生活環境が確保されるように
    私たち専門家は「公正証書遺言」をお勧めしてきました。

     

    が、予想はつくと思いますが、遺言を公正証書にするには、
    公証役場で、公証人に手数料を支払う必要があります。
    この手数料は、財産額や、財産を託す人数(法律行為)によって変わってきます。
    数万円程度から、財産額の多い人は数十万円になることも、、、
    大切なペットのために遺言は用意しておいた方が良いとわかってる、、
    でも、、飼育費用以外に、大きな金額をかけて公正証書までは、、、
    と思っている方も少なくはないでしょう。

     

    そしていよいよ本題です。
    2020年7月10日から法務局における「自筆証書遺言書保管制度」がスタートします。

    その③ 「自筆証書遺言書保管制度」とは

     

    「自筆証書」なので、全文を自分で自筆するということは変わりません。
    しかし、その「自筆証書遺言書」を公的機関である法務局が保管してくれます。
    自筆証書遺言のデメリットであった、紛失や偽造、隠匿が防げます。
    また、この制度を使うと、裁判所での検認手続きが不要になるため、
    様式も不備がないようにチェックされると思われます。

     

    そしてなんといっても公的機関なので、手数料が安い。
    申請料だけだと一件につき3900円です。

     

    自筆証書遺言書保管制度手数料一覧
    http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00010.html

     

    ここまでいうと
    ・手数料が安い
    ・紛失、偽造、隠匿の恐れがない
    ・裁判所での検認が不要

     

    とメリットばかりのように思えますが、もちろんデメリットもあります。

     

    まず、やはり全文自筆 でなければなりません。

     

    2019年1月より、財産目録はワープロ打ちが認められましたが、
    それでも遺言の本文は、全部自分で手書きで書かなければなりません。
    ワープロ、パソコンに慣れている世代にとって、かなり苦痛です。
    また病気等を患っている方、高齢者にとっても、文章を手書きするのは、
    思った以上に気力、体力を使います。
    間違ったからといってただ訂正印だけを押せばよいものでもなく、
    訂正にもきまった方法があります。
    軽微な修正であればまだ良いのですが、
    文章をまるごと修正や修正箇所が多すぎるとなると、
    おそらく書き直した方が良いでしょう。

     

    また、法務局への申請は、「本人出頭義務」が課せられていて、
    本人が病気等でいけないからといって、代理人が申請に行くのは認められていません。
    病気や高齢のため文字が書けない、法務局へ行くことができない、
    という方は、やはり費用はかかってしまいますが、
    公証役場で公正証書の作成をした方が良いでしょう。
    公証人は、ご自宅や施設、病院等へも出張対応が可能です。
    (出張による割増費用かかります。詳しくは公証役場へお問い合わせください。)
    また遺言の内容そのものに関しては、曖昧、不明瞭などのチェックは法務局ではしないので、ご心配な方も、やはり専門家や公証役場の利用をお勧めします。

     

    いずれにしても、ペットの飼い主さん(だけではないですが)に
    大切なペットのための考える選択肢、機会が増えたことは喜ばしいことです。

     

    私たち『ペット安心相談室』では、自筆証書遺言、公正証書遺言の作成のサポートをさせていただきます。7月10日からの自筆証書遺言書保管制度開始に向けて、自筆証書遺言書の作成準備のお手伝いから実際の申請のサポートもさせていただきます。

    まずはお気軽にお問合せください。(ご相談無料)

     

     

    公正証書遺言 自筆証書遺言 自筆証書遺言書保管制度
    概要

    公証役場で2名の証人の前で公証人に申し述べ
    公証人が遺言書を作成する

    自筆で遺言書を作成し
    日付、氏名を記入の上、押印する

    自筆で遺言書を作成し
    日付、氏名を記入の上、押印し、法務局へ保管を申請する。

    メリット

    ・公文書として、強力な効力を持つ
    ・家庭裁判所での検認手続きが不要
    ・死後すぐに遺言の内容を実行できる
    ・原本は公証役場に保管されるため、紛失・変造の心配がない

    ・手軽にいつでもどこでも書ける
    ・費用がかからない
    ・誰にも知られずに作成できる

    ・手数料が安い(一件3900円)
    ・法務局に保管されるため、紛失・変造等の心配がない
    ・家庭裁判所での検認手続きが不要

    デメリット

    ・証人が必要(2名)
    ※推定相続人やその配偶者、ならびに直系血族等はなれない
    ・費用がかかる

    ・不明瞭の内容になりがち
    ・形式の不備で無効になりやすい
    ・紛失や偽造・変造・隠匿の恐れがある
    ・死後家庭裁判所での検認手続きが必要

    ・本人出頭義務有(代理申請不可)
    ・自筆証書のため、不明瞭の内容になりがち
    ・顔写真付きの本人確認書類が必要

     

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