【コラム】負担付贈与のメリットとデメリット
皆さんは、「負担付贈与」という言葉聞いたことがあるでしょうか?
生前贈与をお考えの方は多いと思いますが、この「負担付贈与」も贈与のひとつです。
「負担付贈与」とは、受贈者(贈与を受ける人)に一定の債務(借金など)を負担させることを条件にして行う財産の贈与をいいます。
「負担付贈与」は、民法上の契約のひとつであり、通常の贈与契約であれば、贈与する人だけが義務を負いますが、「負担付贈与」になると、贈与する人と贈与を受ける人、両者ともに義務を負うことになります。
具体的な例としては次のようなものがあります。
「ローンの負担」
2,500万円で購入したマンションを贈与するかわりに、残ったマンションのローン1,000万円を負担してもらう。
「介護や扶養の負担」
現金を贈与するかわりに、ご自身の老後の面倒をみてもらったり、ご自身の死後に、配偶者・幼い子供・ペット等の世話を確実にしてもらう。
「土地の利用」
自身の所有する土地を贈与するかわりに、贈与した土地の一部を駐車場や、畑として使用させてもらう。
〇負担付贈与のメリット
①贈与者(贈与する人)にも利益があります。
一般の贈与は、贈与を受ける人に利益があるのに対して、マイナスの財産も贈与できる、自分の面倒をみてもらえるなどといった贈与する人にも利益があります。
②贈与税を計算する際、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた差額で贈与税を計算することができます。
〇負担付贈与のデメリット
①贈与財産の評価は「時価」で行います。
一般的な贈与は、土地は路線価、家屋は固定資産税評価額で計算します。これらは時価よりは低く設定されていることが多いため、不動産を負担付贈与すると評価額が高くなるデメリットが生じます。
②贈与者にも所得税や住民税がかかる可能性があります。
贈与した不動産の取得費より、負担してもらう債務の方が多い場合、その差額が利益とみなされてしまいます。
③介護やペットの世話などを負担してもらう場合は、金額として確定することが困難な為、負担に相当する金額を贈与財産から差し引くことができません。
以上のように、「負担付贈与」には、それぞれメリット、デメリットがあります。
負担付贈与をうまく使えば、さまざまなメリットがありますが、熟慮せずに行使すると、思った以上の税金がかかるなどのデメリットもあります。
そのため、負担付贈与を検討されている方は、できるだけ早く相続に強い税理士に相談し、失敗のない負担付贈与を行うようにしましょう。
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