代償分割とは?
相続遺産が不動産であるとき効果的な分割方法です!
相続遺産の中に不動産のような「分割しにくい財産」が含まれるとき、代償分割は公平に相続人で分けられる方法です。代償分割したときの代償金や相続税の考え方について解説します。
故人の財産には、現金のように分割しやすい財産と不動産のように分割しにくい財産があります。
代償分割は、「分割しにくい不動産」が相続財産であるとき、効果的な分割方法になります。すなわち、特定の相続人が、不動産を相続する代償として、各相続人に代償金(代償財産)を支払うことで公平に分割する方法です。
遺産分割には、他に次の方法があります
・現物分割➡相続財産の形を換えず、相続人がそのまま受け取る。
・換価分割➡相続財産を売却し、その売却代金を各相続人で分割する方法。
詳しくは➡ こちら
①代償分割の効果
不動産などの相続遺産を資産として守りながら、各相続人に公平に分割する。不動産の価値を評価して、不動産をもらった相続人ともらわなかった相続人の価値の不足を代償金で補い公平にします。不動産を相続する相続人を定めることは、のちに、不動産の売却や活用するような状況でも対応しやすいと言えます。
②代償分割であることを遺産分割協議書に明記する
遺産分割協議書に「代償分割」である旨を記載しておくことで、金銭の受渡しがを贈与とみなされることなく、贈与税が課税されないようにします。
③不動産を相続する相続人は代償金や相続税を支払う資力が必要
不動産を相続した相続人は、相続税の支払いに加えて、他の相続人へ代償金を支払う義務があります。個人の財産から支払う代償金は個人の預貯金や生命保険からの死亡保険金を利用することが多いです。
④代償金(金銭)ではなく、相続人固有の不動産で代償する時
代償分割で他の相続人への代償金は、必ずしも金銭でなくても可能です。
たとえば、代償金として、相続人が所有している他の不動産を譲渡する方法もあります。この場合、不動産を売って支払ったと同じことになりますので、譲渡所得となるのです。譲渡益が発生すると譲渡所得税がかかる点に注意が必要です。
⑤代償金を分割支払することもできます
代償金の支払いが一括で払えない場合に、分割で支払うこともできます。
この場合、支払いが滞ってしまうリスクがありますが、遺産分割協議は無効になることはありません。遺産分割協議書に強制力をもたせるため公正証書にすることをお勧めします。
不動産の評価方法については、市場価格であっても一律ではありません。
相続人同士が納得すれば、以下の2つ方法のどちらも選択できます。
①相続税評価額を元に決める方法
②時価を元に決める方法
評価額の差は、代償金の額に差がでてきますので、慎重に行います。
また、不動産の評価額が相続税の額を左右することはありません。
相続税の算出は、①の相続税評価額を基準とするため、遺産の総額が変わることがなく、相続税の総額は変動しません。
代償分割を行った時の相続税についてみていきます。
「分割しにくい財産」を相続して代償金を支払った人と代償金を受取った人の、どちらの相続人も、相続税の負担をします。
代償金を支払った相続人の課税価格は、相続した遺産の価額から代償金を差し引きます。代償金を受け取った相続人の課税価格は、代償金にその他相続した遺産があればその価額を加えます。
【例】
父の財産 :自宅 280㎡(●相続税評価額 8000万円 ●代償分割時の時価 1億円)
相続人 :長男と長女 分割方法:代償分割(長男が自宅を相続、長男は長女に代償金5000万円支払う)
父の財産は自宅1億円です。代償分割で長男が自宅を相続し、長女に代償金5000万円を支払っています。各相続人の相続税の課税価格は、代償金の金額をどのようにして決定したかにより変わってきます。下記A.とB.において、相続税の対象額の総額は1億円でかわりません。各相続人の相続税の負担割合に違いが出てきます。
遺産分割をする際、共有の財産として相続してしまうと、のちに売却や処分をめぐり、トラブルにつながるケースもあります。
分割しにくい不動産を公平に分割する場合に代償分割が効果的です。一方、代償分割は代償金への備えが必要となります。
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