奥行価格補正率を用いた土地の相続税評価
土地の相続税評価(奥行価格補正)
土地の相続税評価を路線価方式で行う場合には、その土地が面している路線の路線価について、その土地の形状や道路に面している状況に応じて適正な補正をし、路線価の修正を行わなければなりません。
奥行価格補正率による補正
例えば、土地の奥行距離が極端に長い場合や極端に短い場合、一般的には使い勝手が悪いとされ、土地の価値が下がります。従って相続税評価でもこの考え方を取り入れ、その土地の奥行距離によって路線価を減額することとしています。この減額補正に使用されるのが「奥行価格補正率」と呼ばれるものです。また、この補正率は土地の区分ごとに定められています。住宅地と工場用地や商業地ではそれぞれ利用しやすい奥行距離が異なるためです。
奥行価格補正率
奥行価格補正率は、地区の区分と奥行距離により、1.00から0.80の範囲で定められています。地区の区分により宅地の規模として適当な奥行距離の範囲内であれば、補正率は1.00となり減額されません。宅地の規模として適当な奥行距離から外れるにしたがって補正率が小さくなり、相続税評価額が低くなります。
【適当な奥行距離の範囲(奥行価格補正率1.00)】
ビル街地区:44m以上92m未満
高度商業地区:14m以上48m未満
繁華街地区:12m以上28m未満
普通商業・併用住宅地区:12m以上32m未満
普通住宅地区:10m以上24m未満
中小工場地区:20m以上60m未満
大工場地区:20m以上
詳細な「奥行価格補正率」はこちらを参照してください。
【土地の評価】
路線価400千円、奥行価格補正率0.97、地積200㎡の宅地の評価は次の算式によります。
評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率 × 地積
= 400千円 × 0.97 × 200㎡
= 77,600千円
奥行価格補正率を利用した正面路線価の考え方
評価しようとしている土地が2以上の道路に面している場合、正面路線価を決めなければなりません。この正面路線価は、その面している道路に付された路線価に、それぞれの道路から測定したそれぞれの奥行距離による奥行価格補正率を乗じて計算した金額が大きい方とされています。
実際に宅地のどの部分を出入口として利用しているかなどは考慮されず、単純に奥行価格補正率で補正した路線価を比較して判断されます。どの路線に付された路線価が正面路線価となるのかは、土地の評価額に影響しますので判定を誤らないようにしたいものです。
奥行距離の考え方
きれいに区画された整形地であれば、地図や公図を利用しながら奥行距離を実際に測定することで奥行距離がわかりますが、土地の形がいびつで奥行距離が一定でない場合は、「その土地が整形地であるとしたらこうであろうという想定整形地の奥行距離」と「面積÷間口により求めた平均奥行距離」を比較し、短い方を奥行距離として採用します。
相続税や贈与税について、さらに調べたい
より詳しく知りたい方は
豊富な記事が満載の相続税申告専門相談室へ
相続税対策よく読まれる記事
-
孫の名義の口座で貯めたお金。
「名義預金」で相続税がかかるって本当ですか? -
相続時精算課税制度と相続放棄
-
「税務署からのお尋ねが来たら」New
-
「生計を一にする」の定義とは? 小規模宅地等の特例
-
相続税の時効はいつ?7年前の相続は相続税申告必要?
-
【家族信託】
認知症の口座凍結対策で家族が生活費を引き出せる方法