一般社団法人LOVE & Co. 取材レポート
東急田園都市線鷺沼駅より徒歩14分に、一般社団法人LOVE & Co..のオフィスがある。
こちらでは、飼い主のいない犬猫の保護・譲渡活動を行いながら、里親募集を兼ねたコーヒーや雑貨ブランド「LOVE ME SHOP」を展開し、事業利益をシェルター運営費に充てることで、寄付だけに頼ることなく長期的に活動を行えるようにしているそうだ。
今回は『そこに不幸な猫がいたら救うでしょ~』と大変ポジティブなお考えを持った、代表理事の今村さんにお話を伺ってみた。
一般社団法人LOVE & Co.を設立したきっかけ
LOVE & Co.は、もともと飼い主がいない野良猫を減らすことを目的としており、保護活動を諦められているような野良猫を中心にやっていきたいというお考えで運営している。
今村さんはもともと個人として、会社で働きながら、休みの日と夜に野良猫を捕獲して自分で保護する…という活動をずっと行ってきたそうだ。
しかし、猫たちのストレスを考えるとだんだん自宅が手狭になり、“別の場所が欲しいな”と考え始めたのがLOVE & Co.を設立するきっかけになったとのこと。
また、今村さんは以前、会社員としてデザインの仕事をしており、それを活かして仕事の延長線上として、寄付ではなく物販での保護活動に挑戦し始めたそうだ。今年の3月で2年目になる。
「1年やってみて、収益的にはもう少し欲しいかな、という印象です。
売り上げが低いとちょっと頑張らないと、ということで新しい商品のアイディアを出したりしています。一応スタッフが2名いて、2人とも理事なんですけど、私が代表理事で、2人で回している…という感じです。
あとはイベントの時、ボランティアさんからお手伝いして頂く程度で。」と今村さん。
LOVE & Co.を運営していくため、当初は塾講師のアルバイトを行っていたそうだが、だんだん活動に手が回らなくなったためアルバイトを辞め、“ここで頑張って売り上げをあげよう!”と決心したという。
猫たちのストレスを考え、規模は“現状維持”を大切に
LOVE & Co.はオフィスそのものがシェルターになっている。犬も対象にしているが、ほぼ猫である。
オフィス奥のシェルター
家が2つあるような感じで、ここで仕事もして、寝泊りもできるという。猫が病気の時はソファがベッドになっていて、寝れるようになっている。
ソファ兼ベッド。猫クッションも可愛らしく、おしゃれ。
「ここは、いわゆる保護団体のシェルターみたいにするつもりはないんです。
私たちはシェルターを大きくするつもりはなく、支店をたくさん作るつもりもなく、回転を良くしていけばいいかな…という考えなんです。たくさん入れすぎると猫のストレスもあったり、一頭一頭の募集の紹介がおざなりになってしまったりするので。
猫をもっといっぱい増やそうとか、そういう気もありません。
里親希望者さんのお家までお届けしていたりするので…スタッフの回れる範囲でやっていきたいんです。」と今村さん。
猫たちに丁寧に接していきたいという気持ちが表れている。
受入れ可能頭数について
猫たちがストレスなく自由に過ごせるように、基本的にゲージ等には入れないようにしている。そのため、このオフィスは最大15頭の受入れは可能であるが、10頭を目安に受入れしているのだそう。
猫たちがリラックスして思い思いに過ごしている姿がとても印象的である。
人懐こい子猫の「ナッティ」。里親の受け入れ先がすでに決まっている。
食後でウトウト…
「このぐらいなら私にもできるかもっ!」のロールモデルとして小さく存在していたい
LOVE & Co.は、今村さんと矢沢さんの2人で運営している。
矢沢さんはもともとSEで、文章を書くのが得意だという。前職がLOVE & Co.の仕事と繋がることも多く、今村さんも前職の動物用医療器具輸入商社で培ってきたデザインという特技を生かしてご活躍されている。
「自分の好きなことや得意なこととくっつけられるといいんじゃないかと思います。経験とか、活かせるといいですよね。好きなことの方がいいと思うので。」と今村さんは語る。
自分の好きなことや得意なことを活かしてシェルターの運営費を捻出でき、かつオフィスで、自然体で野良猫や野良犬を保護できるというのは理想的な環境である。
今村さんのお話のなかで最も感銘を受けたのは、“楽しみながら”保護活動を行うというスタンスだ。
一般的に保護団体というと、日々辛い現実をつきつけられ身を粉にして活動を行っているという印象があったのだが、LOVE & Co.は全く違う。
今村さんは仕事も好きで、普通に仕事をしながら保護を行っており、「猫も人もお互い楽しく出来るくらいの範囲」で活動していることがよく伝わってくる。私のような素人にもきちんと理解でき、最も近い考えで、シンプルにとても共感できた。確かに、これなら私にも出来るかな?と感じてしまう。
「みなさんもオフィスで保護したら?とか思っちゃうんですけど。仕事しながら…みたいな感じでいいんじゃないかと思うんです。
気軽に肩肘張らずとも、猫を保護することが特別なことじゃなくなるといいなと。
構えなくてもご飯とトイレと世話してくれる人がいれば…ちょっとやってみようかな?と思う人が増えるといいなと思います。」…そう笑顔で語る今村さん。
オフィスでのびのび過ごす猫たちを眺めていると、LOVE & Co.をモデルケースとして、こういったオフィスが今後もっと増えたらいいなと強く感じる。
オフィスで過ごす「ナッティ」
【今村さんに聞いてみた】
コーヒーのラベルデザインについて
「里親募集を兼ねたパッケージにしているんですけど、パッケージを見て問い合わせ…というのはなかなかないですね。
一応、商品全体の売り上げでここを回しているという形なのですが。目安として、コーヒーを1杯飲むと猫の一食分になります。大体の目安ではあるんですけど。
団体さんが普通にやっているのは、バザーとかでオリジナルTシャツとかなんですけど、そういうところだけじゃなくて、普通に欲しいと思ってもらえるものを作りたいので。
犬とか猫が好きな人がもちろん、たくさん買ってくださるのですが…犬猫に興味のない人も手に取ってもらえて、これをきっかけに“犬猫が置かれている状況は、実はこうなんだ”という気付きがあって、あとから考えてくれる、というパターンが増えるといいなと思っています。それが逆だとなかなか広がらないので。」
コーヒーのパッケージに猫を入れようとしたのは今村さんのアイディアなのか?
「もともとこういうのを作っていたりしてたんです。犬猫をモデルに。前に会社員をやっている時も動物関係の仕事だったので。自分で保護した猫をチラシのモデルにしたりだとか。
もう全然、商社みたいなところなんですけど。まぁファンになって下さる方は新しいラベルが出来ると買って下さいますね。」
医療器具の販売をされていたとのことだったが、そこで身につけた技術とか経験とかが役に立っているなと思うことがあれば。
「そこは動物病院さんがお客さんだったんですね。なので、学会の展示会にも行っていたので、獣医界の情報も割と回ってくるんですよ。なので、動物の病気のこととか、あとは獣医業界の裏とか…。人脈的にも困った時に前職の人とコンタクトがあるので、例えば家の猫が入院しないといけない、というときに、“いい先生知らない?”とかお願い出来ます。
あとは仕事を繋いでくれたりするので、助かっています。」
コーヒー豆にした理由は?
「たまたまなんです。たまたま、コーヒーがあるよ、という話があって。
動物だけど、首輪やおもちゃ等の動物グッズは絶対やらないと決めていて、なおかつ消費財的なものがいいなと思っていたんです。そこで、コーヒーはぴったりだなということで。
今はあるか分からないのですが、アメリカとかだと牛乳パックに行方不明の子が載っていて…そこからヒントを得ました。里親募集があると、みんなに見てもらえるので。ペット用にすると犬や猫を飼っている人しか見ませんから。なので、広く浅く人が使うものがいいなと思いました。本当はどこかの企業とコラボして、ペットボトルのラベルとかに載せられたらいいんですけど。」
サポーターに賛同してくれた理由
「最初にお話を伺った時に、信託の仕組みを必要としている人は恐らくたくさんいるので、“ここに頼めばいいんだ”って分かるのは良いことだと思いました。飼う以上は準備をしてもらいたいので…飼い主の立場的に考えてこういうのがあると、いいなぁと思いました。
自分が例えば、余命宣告とかされた場合とか…。両親や兄弟はそれぞれ家庭があるので、私ほど見てくれないなというところがありますから。兄弟とかに託すんだったら信頼できる人に託したいと思う人は私だけではないと思います。
この前やったワークショップにも、“親兄弟とは感覚が違うから頼めない”という人が意外と多かったですし。いざとなったらここに頼めばいいと分かるのは良いと思います。病院にあるとけっこういいですよね。人間のホスピスとか。あとは老人ホームに入る方とか。」
HPを見ている皆様に一言
「“ここで保護してくれる”と思われてしまうと誤解が生じてしまうので…ここだけ、ちょっと注意して頂きたいのです。ご相談には乗りますが、“野良猫がいるから保護してほしい”という丸投げは受けられませんので。ご自分には何が出来るのかというのを一度整理してからご連絡頂きたいので、よろしくお願いします。」
オフィス内を探索する「ナッティ」
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