医業承継・課題と誰に相談するのがよいのか?
作成日2021年8月20日
医療の安定した継続のためにもスムーズな承継への知識を身に着けておきたいものです。
この記事は、医業承継の基礎をわかりやすく教えてくれます。
(目次)
勤務医の先生と違い開業医の先生には定年がありません。
ご自分の意思で定年を決めていかなければなりません。
親族の跡継ぎがいれば承継も比較的スムーズにできますが、親族外の承継となると時間も手続きも結構大変になります。
以前は、高齢の先生が診療日数を減らしながら、廃業する形も多く見受けられましたが、最近では親族内承継が無い場合には、親族外の後継者を迎え入れて医院を継続する先生も増えてきています。
2 医業承継の課題
開業医の先生の承継は、先生の奥様の老後の生活をはじめご家族の相続の問題も含めた幅広い検討が必要になります。
個人経営の医院の場合には、診療所とご自宅が一緒になっている場合が多くあります。
このような場合に、
医院を承継した後に先生と奥様がどこに住まわれるのか?
今まで通り診療所併設のご自宅に住まわれるのか?
現診療所を住居も含めて賃貸できるのか?
すべてを買い取っていただけるのか?等
不動産を先生に残して賃貸した場合に、その不動産は誰が相続するのか?
先生亡き後の賃料の交渉は誰がやっていくのかも課題になります。
医療法人になっていた場合でも、医業そのものの承継は楽になりますが、同じような課題は解決していかなければなりません。
また、医院に借入金やリースの残債が凝っている場合に、これらをどう処理するかも大切な問題になります。
借入金もリース債務も先生に万一の事があった場合に相続人の方が引き継ぐことになります。
医業の承継、または廃業を考える時には、ご自身とご家族の老後の生活と相続についてもあらかじめ話し合ってからスタートされることをお勧めします。
3 医業承継は誰に相談するのが良いのか
医業承継をビジネスにしている会社はたくさんあります。
M&A(医院の売買を仲介する会社)、銀行、証券会社、医業コンサルタント会社、会計事務所等
押さえておきたいのは、医院の売却を依頼する場合には、銀行に相談しようとコンサル会社に相談しようと、購入先を探してくるのはM&Aの仲介会社になることが多いのです。
M&Aの仲介会社は、不動産の仲介会社と同じく物件(医院)の評価をして、買い手を見つけてくるのが主な仕事です。
M&Aの会社は、医院を承継するのか、廃業するのか、相続の問題も含めて家族の将来のお話を相談する相手とすると不向きです。
また、いざ承継先が決まって、引き継をしていくときに内部でトラブルが出ては、スタッフや患者さんにも影響を与えることになり好ましくない事態になります。M&Aの会社はそこまで面倒を見てくれません。
このような観点から、医業承継や廃業をまず相談するのは、医院の開業支援に強い医業コンサルタントと資産の移転税務や相続に強い税理士に相談することが一番かと思います。
開業支援ができる医業コンサルタントは、医院の現状の分析ができますし、引き継いでくれる先生に対して、開業支援と同じように引継ぎ支援をしていくことができます。
相続に強い税理士は、家族の老後の生活と相続について相談に乗ってくれるだけでなく、医院の資産の売却や賃貸に関する法務・税務の知識を持っています。
承継か廃業かは家族の将来も見据えた計画が見えてから決断し、それから承継先を探しても遅くはありませんし、お話が途中で頓挫するリスクも減らせます。
また、開業支援に強い医業コンサルタントは、開業したい医師の情報に強いのが特徴です。
4 まとめ
承継や廃業を考え始めたら、まず「家族目線」で老後の住居、生活、相続の問題を整理して、奥様や必要な家族に方針は話しておくことをお勧めします。
この部分のお話がまとまると、次のステップの承継や廃業にスムーズに進んでいけます。
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