エンディングノートは遺言の代わりになるの?
作成日2021年8月17日
エンディングノートとは、もしもの時、
いざという時のために、家族や大切な人へ
自分の情報を伝えるためのノート。
気軽に書き始めてみませんか?
(目次)
エンディングノートは高齢化社会の中で終活に欠かせないツールとなっており、遺された家族や身の回りの世話をしてくれる人のためにもぜひ書いておいて欲しいものです。
エンディングノートに決まった書式はなく、本屋さんに行けばたくさんの種類のノートを見つけることができると思います。
遺された家族や身の回りのお世話をしてくれる人にとって、どのようなことが役立つのか、一般的な記入項目の中から拾い出してみました。
①本人の基本項目
生年月日・本籍地・血液型・家族・家系図・学歴・職歴・資格・マイナンバー・健康保険証番号・現在かかっている病気と飲んでいる薬等。
→ 一人暮らしのお年寄りが自宅で倒れ時に、誰に連絡するのか? どんな薬を飲んでいるのか?など わかると助かります。
→ 万一亡くなった場合にも、連絡先が一覧表になっていると、遺族が慌てなくて済みますね。
②葬儀・お墓について
信仰する宗教と菩提寺
葬儀の方法(直葬・家族葬・葬儀積み立ての有無など)
お墓の場所と納骨の方法
遺影に使う写真の保管場所
→ご自分の希望を書いておけば遺された皆様も進めやすいです。
③財産について
預貯金……どこの銀行のどの支店に預貯金があるのか?
金庫に保管している重要書類等
不動産の所在地
有価証券 どこの証券会社に預けてあるのか?
加入している保険会社と保険の種類と証券番号
貴金属、骨董品など価値のあるものについて
→ 一人暮らしの高齢者が亡くなった時に、亡くなった方の財産がどこにあるのかをご家族が探し出すのはなかなか大変です。見つからずに金融機関に没収されてしまう預金も相当額に上ります。一覧表にしておきたいものです。
→ ただし、これら財産の一覧表は特殊詐欺に狙われる情報ですから保管は慎重に行いたいものです。
④デジタル情報
SNSのパスワード、オンライン口座のパスワード等
→これらはそのままにしておくと残ってしまうので遺族にわかるようにしておくことをお勧めします。
以上、エンディングノートの主な項目を書き出してみました。エンディングノートを書いてみる事で、ご自身のためにも、遺された方のためにも役立つ情報が浮き彫りになってくると思います。
ここからは、エンディングノートと遺言の違いについて触れておきます。
エンディングノートは遺された人に役立つ情報であるのに対して、遺言は自分の遺志を死後に法律の力で実現するためのものとなります。
一つの事例でご説明します。
Aさんはご主人を亡くして、一人暮らしをしています。お子さんは二人いますが、それぞれ遠方で自宅を持って暮らしています。
Aさんは、近くに住む姪に自宅をあげたいと考え、エンディングノートにその旨を書いておきました。遺言はありません。
この場合、遺言が無いAさんの財産を相続できる権利があるのは、二人のお子さんになります。姪はAさんの相続人にはならないため、遺産分割協議に参加することはできません。エンディングノートの記載だけでは財産が法的に相続または遺贈されることはありません。
もし、Aさんの遺志を汲んで、Aさんのお子さん二人が自宅を姪にあげるとすると、法的には、子供が相続した自宅を姪に贈与したことになってしまい、姪に贈与税が課せられることになってしまいます。
自分が亡くなったことを原因として、財産を分けたい希望があるならば、法的に有効な遺言を作成しておかなければなりません。
遺言には大きく分けると、自筆遺言と公正証書遺言があります。どの方式で作るにせよ、民法で定められた書式で作成しないと有効な遺言にならないので注意が必要です。
遺言が無い場合には、相続人の方が全員参加する遺産分割協議を行い、その結果である遺産分割協議書を作成して、それに基づいて遺産を分配することになります。
遺言はすべての財産について書く必要はなく、一部の財産だけ誰にあげたいのかを書く事もできます。その場合には遺言に書かれている財産以外は相続人全員で分割協議をすることになります。
また、遺言には「遺言執行者」を書いておくことができます。
遺言施行者とは遺言者の遺志に沿って遺言に書いてある内容を実行する人です。
少し想像してみてください。
遺言に「あの財産は誰に、この財産は誰に」と書いてあったとして、皆で遺言を見ているとします。
その分配……、具体的に言うと預金を解約したり、株を売却したり、不動産の名義を変えたり……、
誰がその手続きをしたらよいでしょうか?
まさにそれを行う人「遺言執行者」が書いてあれば皆さん迷うことなく手続きに入れます。
遺言執行者は家族でも良いですし専門家に頼んでも良いです。
エンディングノートは自分のためにも遺された人のため、遺された人のためにも役立つ情報となります。ぜひ一通り書いてみてください。
その上で、そのエンディングノートを元に、相続の専門家に相談してみてください。
法的にカバーしておいた方が良いことをアドバイスしてもらえると思います。
思わぬ相続税や贈与税がかかることもありますし、今は遺言だけでなく生前の認知症等の対策ができる家族信託という方法も多くの人が利用しています。
ぜひ税金、遺言、家族信託等幅広い相談経験を持った専門家のアドバイスを受けてみてください。
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